Zay / Cry For The Moon
日本のハードコアバンドによる初フルレングス。
メッセージ性の強いというよりは、メッセージそのままをメタリックな演奏で叩きつける激情型ハードコア。
90年代のハードコアの薫りを残して、ブラックメタル、スラッシュメタル、ポストロック等の要素を惜しげもなく注ぎ込んだ音楽性と言えばわかりやすいです。
メタリックな感触はかなり強いのですが、仕上がった楽曲はハードコアと言うしかない質感になっています。
スラッシュ然とした刻みもしかと残っており、生々しい録音で滅法渋いんですよね。
残響までしっかり響かせて余韻を作り上げて、何とも言えない憂愁に聴き手を引きずり込む。
この辺り、叙情派ニュースクールハードコアにも通じるものがあります。
黒々とした演奏のはずなのに、全くブラッケンドなハードコアではないので、ジャケットの禍々しさに釣られた人は気に入らない可能性もあります。
彼ら最大の特色は、三人体制のVoでしょう。時に掛け合い、殴り合うような壮絶なスクリームがかなりかっこいいです。
反面、クリーンの質感はのっぺりとしているので好き嫌いは分かれるかも知れません。
ただ、M-5“Cry For The Moon”のような儚げなクリーントーンのギターアルペジオが主導する叙情的な曲では、淡々としたクリーンVoが非常に効果的です。
静と動を目まぐるしく行き交う様が生々しい人間味溢れた作品ですね。
個人的な好みとして、歌詞はもう少し寓話的なものが良かったですが。
バンド名は罪という意味なのかな。
1. Day
2. There Is No Future In Dreaming Of The Past
3. Mascrophage
4. Four The Wing
5. Cry For The Moon ★
6. Wind Of Hatered
7. The Question Of Silence
8. 新月
(2017,ZAY-NIN Record)
Time/34:56
※プラケース、歌詞ブックレット8P