むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Northlane / Alien

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Northlane / Alien


オーストラリアのメタルコアバンドによる5作目フルレングス。


何という大胆不敵な変化。
ラディカルな変貌を遂げたのは、何もBring Me The Horizonだけではありません。
持ち前の青く叙情的なメタルコアはしっかり残したまま、電子処理を大胆に導入し、重厚なニューメタルのグルーヴを取り入れています。
過度なまでにデジタライズされた作風の変化に賛否あるでしょうが、高らかに変化への歓喜を叫ぶ凶暴なM-1“Details Matter”を聴けば、決して浮わついたものではなく、鬱屈や悲哀、憤怒を表現するに適したフォーマットであることは、続くニューメタルの抑圧されたグルーヴを全面に押し出したM-2“Bloodline”が証明しています。
エレクトロの雰囲気を持ちつつハードコアの軽快さで疾走するM-3“4d”、暗く鬱々としたメロディーをニューメタルの重苦しさで表現したM-4“Talking Heads”、ゆったりと歌を聴かせて空へ昇り詰めるような歌メロに反してDjentリフで地上を這い回るM-5“Freefall”で、彼等の変貌に驚嘆しました。
体を刺すような電子ノイズと太いグルーヴが絡み合うM-6“Jinn”、四つ打ちのビートでダンサブルながらも凄絶な怒号が飛び交うM7“Eclipse”、不気味に蠢くアンビエントで金属的なノイズの中で浮遊するメロディーと歌が美しく響くM-8“Rift”を経て明るいメロディーが青白く鳴るエモいハードコアM-9“Paradigm”の展開の妙。
メロディーそのものをかなぐり捨てて強烈なブレイクに叩き落とすDjentのM-10“Vultures”から作中屈指の美しいVoラインで物憂げに幕を下ろすM-11“Sleepless”の福音的な余韻が見事ですね。
昨今、ニューメタルに接近するメタルコアバンドが増えましたが、今作はその流れの終着点であり、また新たな指標となったとすら思えます。
異形であり、他になかなかない音に触れたい方にはオススメです。
とは言っても、しっかりキャッチーですのでご安心を。


1. Details Matter
2. Bloodline
3. 4d
4. Talking Heads
5. Freefall
6. Jinn
7. Eclipse
8. Rift ★
9. Paradigm
10. Vultures
11. Sleepless
(2019/UNFD)
Time/43:24