むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Blood Incantation / Hidden History Of The Human Race

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Blood Incantation / Hidden History Of The Human Race


USのデスメタルバンドによる2作目フルレングス。


前作が見事なIncantationライクでありつつ個性的な作風でした。
評価もずば抜けて高く、注目度をゴリゴリに上げての今作ですが、作風としてはIncantationからMorbid Angelみたいになった印象をまず受けました。
それも“A”~“D”くらいのモビエン。
暗黒魔界の禍々しい空気は増大しているものの、汚泥の如く前作にあったささくれ立った音ではないので、そこは少し不満。
ですが、初っ端から暗黒闘気全開でぶちかましてくるブラストと艶かしいギターが縦横無尽に乱舞するM-1“Slave Species Of The Gods”に頬が緩まないデスメタラーはいないでしょう。
おぞましいベースラインが這い回る暴虐的でエッジの効いたパートが艶かしいメロディアスなブレイクに雪崩れ込む美醜を合わせたM-2“The Giza Power Plant”、宇宙的なアンビエントが徐々に暗黒的なギターの美しさに侵食されていき獣の唸りに支配されるM-3“Inner Paths(To Outer Space)”までが序幕に近く、最終でありつつ実質本編的なM-4“Awakening From The Dream Of Existence To The Multidimensional Nature Of Our Reality(Mirror Of
The Soul)”の地獄の18分に度肝を抜かれます。
この曲で持ち味のドゥームデス的暗黒空間、反復するリフの切れ味、荒れ狂うドラムのブラストとハイハットの乱舞、全てを解放しているので終わる頃には虚脱。
複雑怪奇なのですが、非常に滑らかに展開していくので難解さをあまり感じさせないのが好印象。
今作はPitcforkで8.3をマークしたり、Twitterでもかなり話題になっていましたが、個人的にはこれが聴けるなら他のデスメタルも余裕で聴けると思いました。
前作よりは聴きやすいですが、しっかり暴虐性も残っているのでオススメはしやすいですね。
アルバム表題の陰謀論めいた表現やジャケットの宇宙人がムーとか好きな人にも刺さるのではないでしょうか。


1. Slave Species Of The Gods
2. The Giza Power Plant
3. Inner Paths(To Outer Space)
4. Awakening From The Dream Of Existence To The Multidimensional Nature Of Our Reality(Mirror Of The Soul)
(2019/Dark Descent) ★
Time/36:20