むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Metal De Facto / Imperium Romanum

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Metal de Facto / Imperium Romanum


フィンランドのへヴィメタルバンドによる初フルレングス。


ローマ帝国をコンセプトにした作品ですが、作品の構造は非常にシンプルなメタルアルバムです。
日本に留学経験もあるDyecrestやEverfrostでも存在感を増しているMikael Saloの歌を中心にしていますが、緩急効いたギターやドラムに哀愁のあるメロディーがとにかく耳を引きます。
北欧メタルの王道を捉えており、溌剌とした演奏はとにかく新人離れしているのですがそれもそのはずで、EnsiferumのSami Hinkka、KalmahのライヴメンバーでもあったLeverageのMikko Salovaara、Dreamtaleに在籍していたEsa Orjatsaloらが名を連ねており、ある意味スーパーバンド化しています。
溌剌としたギターとキーボードの絡みが耳を引くM-1“The Conqueror”を聴けば、今作がどういうものかわかるはず。
ザクザクとした攻撃的なリフとゴリッとしたベースがうねりキャッチーなコーラスが爽快なM-2“Legionnair's Oath”、流れるようなボーカルラインに胸が熱くなる勇壮で雄々しいM-3“Naturalis Historia”の空気を引きずりながらもそこに若干の悲壮感を注入しているドラマティックなM-4“Inferno”、一転まるでHelloweenのようなハッピーメタルもかくやなメロディーが印象的なM-5“Bacchanalia”と息も吐かせぬ雄々しいメタルチューンに喝采
ゆったりとした歌と管楽器の優しく物憂げな音色が素朴で美しいバラードM-6“Echoes In Eternity”は白眉な出来だし、ローマ帝国と言えば思い起こされる剣闘をネオクラ様式美でBPM速めに演出するM-7“Colosseum”、ガツガツと前に出てくるドラムと流麗なギターソロが気持ち良いM-8“Ides Of March”、待ってましたとばかりの疾走感に否応なしに首が落とされる作中最もキャッチーなクサメロにドキドキするメロスピM-9“The Ascending Of Jupiter”、彼らのスキルフルな側面が詰め込まれた様々な展開が拝めるプログレッシヴメタルのような味わいも楽しめる約10分の長さも感じさせないM-10“Germanicus”で潔く幕を下ろす構成も見事です。
意外に力で押し切るタイプの作品ではなく、しっかりと聴かせるポイントも要所要所で持ってくるので、非常に聴きどころが多いです。
個人的にはSamiのベースが非常に攻撃的で聴いていて心地好いですね。
有無も言わさないメタルアルバムですので、先が楽しみなバンドです。


1. The Conqueror
2. Legionnair's Oath
3. Naturalis Historia
4. Inferno
5. Bacchanalia
6. Echoes In Eternity
7. Colosseum
8. Ides Of March
9. The Ascending Of Jupiter
10. Germanicus ★
(2019/Rockshots)
Time/51:55