むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Nile / Vile Nilotic Rites

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Nile / Vile Nilotic Rites


USのブルータルデスメタルバンドによる9作目フルレングス。



エジプトをモチーフに凄まじい演奏技術で荘厳でありつつ極めて暴虐的かつ粗野なブルータルデスメタルで聴き手に襲いかかる音楽性は不変。
今作では、“Annihilation Of The Wicked”以来となる四人編成となり、EntheanというバンドのBrian Kingslandなる人物をギタリストに迎えています。
音楽性がそれによって大きく変わることはないですが、個人的には過去最高レベルに荘厳になっているな、と感じました。
それは幕開けを飾るM-1“Long Shadows Of Dread”の怒濤のブラストに絡みつく暴虐的なリフから高らかに宣言しています。
噛みつくように突き刺さるリフの鋭さとドラムの苛烈さに頬が緩むM-2“The Oxford Handbook Of Savage Genocidal Warfare”、
緩急行き交うドラムの凄まじさと密の高いリフに空気を奪われていくM-6“Snake Pit Mating Frenzy”、原始的なリズムでゆっくりとトグロを巻くようにねっとりとまとわりつくM-5“That Which Is Forbidden”といった曲で聴ける触れ幅の広さはNileの健在ぶりを示しています。
ゴジラのテーマを引用したイントロから壮大かつ壮麗なデスメタル絵巻に展開していくM-4“Seven Horns Of War”の構築力の素晴らしさに、次回作以降のゴジラ作品のサントラを手掛けてほしいと思った諸氏も多いのでは。
ハイハットやギターノイズですらゴジラの咆哮に聴こえてくる演出に感動しました。
残響まで計算されたキメから縦横無尽に駆け回るブラストが腹に溜まる美しいギターソロが堪能できるM-7“Revel In Their Suffering”、雷鳴を背景にギターが唸り威圧的に迫ってくるデスメタルに挟まれる砂塵に舞うギターに舌を巻くM-9“Where Is The Wrathful Sky”、艶かしいギターに重圧感のあるドラムとおどろおどろしい呪術的なグロウルが余韻を引っ張るM-11“We Are Cursed”まで、とにかく剛柔極まった演奏で最後まで気が抜けません。
過去最高にクリアな音質でゴージャスに仕上げられているので、Nileの入門にも適した充実作だと思います。


1. Long Shadows Of Dread
2. The Oxford Handbook Of Savage Genocidal Warfare
3. Vile Nilotic Rites
4. Seven Horns Of War ★
5. That Which Is Forbidden
6. Snake Pit Mating Frenzy
7. Revel In Their Suffering
8. Thus Sayeth The Parasites Of The Mind
9. Where Is The Wrathful Sky
10. The Imperishable Stars Are Sickened
11. We Are Cursed
(2019/Nuclear Blast)
Time/54:54