むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Equilibrium / Renegades

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Equilibrium / Renegades


ドイツのフォークメタルバンドによる6作目フルレングス。


賛否が綺麗に分かれる作品です。
2作目“Sagas”でフォークメタル、メロディックスピードメタルメロデスファンの心を鷲掴みにして確固たる地位を築いてきた彼らですが、今作は非常に実験的な作風です。
実験的とは言っても従来の作風に加えて大きく新味を取り入れているということ。
これを旨味と取るか雑味と取るかで大きく評価がわかれます。
彼らの代名詞とも言えるクサい歌メロはM-1“Renegades - A Lost Generation”を聴けばわかるようにしっかり残っているので、エピックなフォークメタルとしての核はブレていないと感じました。
とは言っても全編に渡ってニューメタル/オルタナティブメタルの影響下にある重たいリフやダンサブルなリズムパターン、クリーンVoの大幅な増加、M-4“Path Of Destiny”で聴けるラップ等、おおよそメタル好きが嫌う傾向にある要素がこれでもかと盛り込まれているので、賛否あるのも無理ないです。
軽やかに飛翔するリフとキーボードが乱舞する従来型EquilibriumのM-3“Himmel und Feuer”、疾走するフォーキッシュなパートとクリーンの対比が素晴らしく映えるM-5“Moonlight”、慟哭に泣くギターと絶叫が響き渡る爆走する作中最も暴虐的なM-8“Final Tear”といった曲が非常に機能的。
アルバムを壮大に締め括るM-10“Rise Of Phenix”の絢爛豪華で煌びやかなギターメロディーは抗えない人の方が多いと思います。
フォークメタルとしては昨今の彼らに閉塞感を持っていた自分としては、今作の非常に開放的な作風に是と言いたいですね。
あえて茨の道を取ったと言えるでしょうが、お家芸のクサメロもあるし、何よりコンパクトにまとめており、間口を拡げることに成功していると思います。
ジャケットが示す通り、都会的な空気のフォークメタルがあるとすればまさしく今作なのではないでしょうか。


1. Renegades - A Lost Generation
2. Tornado
3. Himmel und Feuer
4. Path Of Destiny
5. Moonlight
6. Kawaakari - The Periphery Of The Mind
7. Johnny B
8. Final Tear
9. Hype Train
10. Rise Of Phenix
(2019/Nuclear Blast)
Time/46:40