むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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The Agonist / Orphans

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The Agonist / Orphans


カナダのメロディックデスメタルバンドによる6作目フルレングス。


Arch EnemyのAlissa White-Gluzというカリスマボーカリストを輩出しましたがすったもんだの脱退劇を繰り広げてからVicky Psarakisが加入して3作目となる今作。
Alissaとは違いゴスやオペラではなく、ブルースやR&Bが背景にあるクリーンVoはますます冴え渡り、前作で大いに不満だったグロウルの迫力不足は解消されています。
先行カットされたM-1“In Vertigo”を聴けばわかるように、シンフォニックな要素も昇華されており、演奏のキレも過去最高。
立体的に織り上げられた突進するテクニカルデスの装いもあるM-2“As One We Survive”や輪郭のハッキリしたリフでゴリ押しするデスラッシュ染みたM-8“The Killing I”、伸びやかなハイトーンと血反吐を吐くスクリームに哀愁あるギターが絡み疾走するM-10“Burn It All Down”が目立つように、今作は彼等の作品でも上位に来るほどメロデス/デスラッシュ寄りのアグレッションが強め。
グルーヴ感強めのリフで激しく引きずり倒すM-3“The Gift Of Silence”のブルージーなトーンやハードロック寄りの軽快なノリから一気にハーコーに突き落とすM-5“Mr.Cold”、グラマラスなコーラスとエグみのあるスクリームの対比が重たいリフとの相乗効果で爽快感あるM-6“Dust To Dust”とVicky加入後の要素であるブルースやゴスペルの味つけもしっかり昇華されています。
彼等の絶対的なアンセムである“Thank You,Pain”ほどキャッチーな楽曲はないものの、非常によく練り上げられたアルバムで、コンパクトにまとまっています。
彼等を初めて聴く方にもオススメできますね。


1. In Vertigo ★
2. As One We Survive
3. The Gift Of Silence
4. Blood As My Guide
5. Mr.Cold
6. Dust To Dust
7. A Devil Made Me Do It
8. The Killing I
9. Orphans
10. Burn It All Down
(2019/Napalm)
Time/42:56