むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Gaahls WYRD / GastiR - Ghosts Invited

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Gaahls WYRD / GastiR - Ghosts Invited


ノルウェーブラックメタルバンドによる初フルレングス。


ノルウェイジャンブラックの伝説の一つ、Gorgorothの元メンバーGaahl氏によるバンドです。
Gorgoroth脱退後はGod SeedやWardrunaといったバンドを渡り歩いていた彼が次なる主戦場に選んだのはこのGaahls WYRD。
Taakeのライヴにも参加しているAeternusのEld(Ba)、God Seedでも組んでいたSahgのLust Kilman(G)、Horizon AblazeのSpektre(Dr)という面子。
その音楽性ですが、Enslavedに近い、霊性を漂わせるブラックメタルを聴かせてくれます。
M-1“Ek Erilar”の艶かしくおぞましいメロディーにしゃがれた呪術が乗る世界観を聴けば、彼のやりたいことがよくわかります。
破壊的なブラックメタルを叩きつけるM-2“From The Spear”の暴力性やトレモロ吹き荒ぶ王道のブラックメタルを聴かせるM-6“The Speech And The Self”、さらに破壊的に爆走するブルータルブラックを体現したM-7“Through And Past And Past”には動的な魅力が詰まっていることがわかるでしょう。
それでも基盤にあるのは、呪術的にクリーンを響かせる裏で厭世的なギターをじっくり滲ませたM-3“Ghost Invited”、ゆったりと破滅に堕ちてゆくような世界観を聴かせるM-4“Carving The Voices”のような雰囲気ある楽曲であり、とにかく耳を引きます。
儀式的な雰囲気がとにかく強く、それが故に悪魔的な空気が充満した怪作とも言えます。
理解しやすい作品とは言えないですが、要所要所にある爆発力はさすがの風格。
とは言え、Gaahls氏がGorgoroth脱退時からこの路線を視野に入れていたとすれば、Gorgoroth側と相容れないというのも何だか納得ですね。


1. Ek Erilar
2. From The Spear
3. Ghosts Invited
4. Carving The Voices
5. Veiztu Hve
6. The Speech And The Self
7. Through And Past And Past ★
8. Within The Voice Of Existence
(2019/Season of Mist)
Time/42:16