むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Kull / Exile

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Kull / Exile


UKのシンフォニックブラックメタルバンドによる初フルレングス。


絶大な人気を誇るクサメロ系シンフォニックブラック/デスの雄、Bal-Sagoth。
Vo以外がBal-Sagothという、いわばBal-Sagothと呼んでも問題なさそうなバンドが、このKull。
Voに元DyscaphiaのTarkan Alp氏を迎えていますが、彼もBal-Sagothに参加したこともあるので、結局実質Bal-Sagothです。
その音楽性も、Bal-Sagothとほぼ同じファンタジックなメロディーで絢爛豪華に疾走するタイプのもの。
Voの声質もByron Roberts氏に似ているしゃがれたグロウルを使うので、Bal-Sagothと言っていいです。
ただ、Bal-Sagothの過去作よりも幾らかソリッドで、若干邪悪さが増しているので個人的には好み。
派手なオーケストラによるインストM-1“Imperial Dawn”を抜けて、邪悪なメロディーと呪術的なVoを伴い疾走するM-2“Set Nakt Heh”、薄暗い森の中を馬で駆けていく場面が浮かぶようなメロディーがかなり幻想的なM-4“A Summoning To War”に辿り着く頃には、クサメロの奔流に拳を上げたくなりますね。
ゆったりとメロディーを紡いだかと思えばメロスピ並に疾走するパートを設け緩急を際立たせるM-6“An Ensign Consigned”、重たいリフを切れ味良く刻みうっすらとキーボードをまとわりつかせるポップとすら言えるM-7“Pax Imperialis”、威圧的なリフでがなり立てるような緊張感を湛えたM-9“Of Stone And Tears”、最後の狂騒とも言えそうな爆走に雪崩れ込んで幕を下ろすシンフォニックブラックM-11“Of Setting Suns And Rising Moon”まで、安心のBal-Sagoth品質と言えます。
クリアになったとは言えアングラ臭が充満しているので、往年のファンは納得いく一枚だと言えるかと。
Byron Robertsが動かないとBal-Sagothではないみたいなので、本家の動向も気になりますね。
ただ言えるのは、今作はBal-Sagothだということです。


1. Imperial Dawn
2. Set Nakt Heh
3. Vow Of The Exiled
4. A Summoning To War ★
5. Hordes Ride
6. An Ensign Consigned
7. Pax Imperialis
8. By Lucifer's Clown
9. Of Stone And Tears
10. Aeolian Supremacy
11. Of Setting Suns And Rising Moon
(2019/Black Lion)
Time/54:56

Score:8.5/10


Kull - Set-Nakt-Heh