むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Lice / Woe Betide You

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Lice / Woe Betide You


スペイン/スウェーデンアヴァンギャルドブラック/ポストブラックメタルバンドによる初フルレングス。


鬱ブラックの巨匠Shiningの首魁Niklas KvarforthとTeitanbloodの豪腕ドラマーKirill Krowliが組んだユニットです。
基盤にデプレッシヴブラックを主軸に置き、ポストブラックやニューウェイヴ、ネオアコ的な要素まで盛り込んだ意欲的な作品となっています。
ジャングリーなリズムとリリカルな響きのギターが美しく疾走するM-1“Beyond Eternal Recurrence”に意表をまず突かれると思います。
主導となっているのはあくまでKvarforth氏でしょうが、怒濤の豪腕ドラマーであるKrowli氏も非常に柔軟なプレイを聴かせてくれます。
呪術的なVoが暗黒面をさらけ出しながら星空のようなギターが突如暴風雪に見舞われるようなM-2“Layers Of Dart”、苦悶に満ちた歌に啜り泣くようにか細いギターと少しRawに耳を引っ掻く神経質なギターソロが聴けるM-3“Towards Reality”の流れを聴くだけでも、Kvarforth氏らしい厭らしさがしっかり刻まれていることが伺えますね。
暗く端正なギターが乾いたドラムと狂ったように踊る中を掠れた病人のような呻き声が囁くように歌うM-4“Level Below”、穏やかなギターがどんどん悲鳴を上げて爆発するM-5“Roadkill”、やけにポップなギターに病んだVoが乗るSwansを参照したような静寂さに猟奇的な動きをつけるM-6“Pride Eraser”の闇を映したような美しさを塗り潰すような、Teitanblood直系の荒ぶるドラムから霊的な何かを引きずり出すような静けさが軽やかにスウィングする様に唖然としていたら猛烈な暴風が吹き荒れるポストブラックM-7“…and so the Ceaseless Murder of the World Came to an End”で幕を下ろす構成。
ShiningやTeitanbloodには確固たる色が存在して逸脱はしないのですが、こちらはまさに自由。
ポストブラックは数あれど、シューゲイザーではなくネオアコを感じるパターンは初めてで新鮮でした。
おそらくKvarforth氏にポストブラックをやっている感覚はないのでしょうけどね。
気持ち悪いジャケットに反して、澄み切った澱みという矛盾する要素を孕んだ歪な美しさが冴える作品です。
ちなみにLiceは米ではなく虱なので、アートワークにも虱がモチーフに使われていて見ていると痒くなりますね。
バンドコンセプトも疫病なのかな、と思います。
個人的には、ShiningやTeitanbloodより好みですね。


1. Beyond Eternal Recurrence
2. Layers Of Dirt
3. Towards Reality
4. Level Below
5. Roadkill
6. Pride Eraser
7. …and so the Ceaseless Murder of the World Came to an End ★
(2019/Season of Mist)
Time/47:27