むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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ヴァージュ / Gracia-ガラシャ-

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ヴァージュ / Gracia -ガラシャ-


日本のヴィジュアル系/ロックバンドによる初フルレングス。


彼らの音を端的に表すならば、90年代ヴィジュアル系の玉手箱。
作詞作曲を一手に担う遼氏(Vo)のルーツや趣味嗜好が大いに発露しており、ツタツタと疾走するドラムと喉でがなる声と耽美なメロディーラインが耳に残るM-6“毒苺”は最たるもの。
ただ、演奏強度はハードロックやメタルに近いオーガニックながらも適度にモダンなプロダクションで、非常に格好いいです。
オープニングを飾るM-2“Vanish”のギターの疾走感と優美で悲哀のメロディーはなかなかの完成度。
シンフォニックなシンセが程好い味付けを施すM-3“影”にMalice Mizerを思い出す人は多々いるでしょうし、少しオルタナ寄りの青いメロディーが印象的なM-7“紋白蝶”、粒の粗いギターが激しく疾走するM-8“fated”にどこか蜉蝣を思い出したりもします。
オリエンタルで神秘的なメロディーと電子音をヘヴィネスの渦に叩き込むM-5“ガラシャ”、切なく熱い激情を迸らせるM-10“夜想”、ピアノとオルガンのようなシンセを背景に美しく歌い上げる珠玉のバラードM-11“白昼夢”辺りは彼らの核となっているのがありありとわかる曲です。
開放的なメロディーを福音と共に疾走するM-12“Le ciel”をさらっと最後に持ってくるのは何とも読後感を良くする形に収まっています。
彼らの音そのものにそこまで革新的なものはまだないですが、Voのあどけない少年あるいは儚げな女性のような印象と力強い男性性を同時に感じさせる美声は、大きな武器です。
少しJanne Da ArcのYasu氏に声質が似ていたりもするのかな、と。
今後ますます音を磨いていって新世代を象徴するバンドの1つになってほしいものです。
次の作品ではギター隊の作曲したものも聴いてみたいものですね。


1. Place of
2. Vanish
3. 影
4. ベラドンナリリーにナイフを添えて
5. ガラシャ
6. 毒苺
7. 紋白蝶
8. fated
9. 醜劣
10. 夜想
11. 白昼夢
12. Le ciel
(2019/Speed-Disk)
Time/44:53