むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Drastus / La croix de sang

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Drastus / La croix de sang


フランスのブラックメタルバンドによる2作目フルレングス。


Deathspell Omegaフルリスペクトのバンドで、一人バンドです。
前作から恐ろしいほどの飛躍を遂げており、単純にクオリティが底上げされています。
DsOから影響は多大に受けており、そこにLeviathanから吸い上げた鬱々とした要素や、時に吹雪く北欧ブラックのメロディー感も違和感なく溶け込んでいるのが聞き所。
特にギターのタッチはDsO~Leviathanの鬱々としたものと宗教的な神秘性を重要視したような音で非常によろしい。
ドラムは打ち込みかと思いますが、それっぽい人工臭さはないので生ドラムの可能性もあります。
Voは獣染みたグロウルから不気味なクリーンを操るスタイルで、どれもどことなく異様。
暗黒ギターが唸るM-1“Nihil Sine Polum”の開幕にDsO“Paracletus”を思い出してニヤリとできますが、曲が進むに連れて陰鬱ながらも肉薄してくる生々しさに舌を巻くでしょう。
神経を磨耗するようなギターがじりじりとブラストと共に迫るM-2“Ashura”はコンパクトですが、ゆったりと不穏にうねるようなメロディーが暴発していくM-3“Crawling Fire”、冷たく沈み込んでいく陰鬱さと暴虐的な演奏ががっぷり噛み合う展開の多いM-4“The Crown Of Death”という9分近い大曲が続く流れは聴き手をひたすら翻弄し続けていきます。
妖しく暗い光を帯びたギターインストM-5“Hermetic Silence”を抜けてのテンション高めのキャッチーなリフが拝めるM-6“Occisor”の吐血しそうなVoとブラストが異様にかっこいいです。
幕を下ろす10分近いM-7“Constrictor Torrents”のいつ終わるとも知れない無明の暗黒リフ地獄に、いたく充足できる仕上がりです。
作品としては様々なバンド、特にDsOとの共通項は見出だしやすいですが、それだけに留まらない完成度の高さに唸る一枚ですね。
フレンチブラックの層の厚さを見せつけられる作品でもあります。


1. Nihil Sine Polum
2. Ashura
3. Crawling Fire
4. Crown Of Death ★
5. Hermetic Silence
6. Occisor
7. Constrictor Torrents
(2019/NoEvDia)
Time/46:48