むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Venom Prison / Samsara

Venom Prison / Samsara

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USのデスメタル/ハードコアバンドによる2作目フルレングス。


正直、前作からここまで飛躍を遂げるとは思いませんでした。
この世の全てを憎むかのような怒号とグロウルを操るのはバンドの紅一点Larissa Stuper。
彼女のパワフルなVoは明らかに前作とは別次元にあって、この強烈なVoを起点としてより凶悪さを増した演奏が爆発しています。
オープニングを飾るM-1“Matriphagy”の硬質で無慈悲なデスメタルとハードコアの理想的な融合を聴けば、否応なく拳が上がるはず。
凄まじいブラストの嵐と絶叫が響き加速していくM-2“Megillus & Leana”、前のめりに突っ走るグラインドコアの勢いとおぞましいリフ責めが半端なく苛烈なM-3“Uterine Industrialisation”と全く序盤から速度を緩めませんが、邪悪な雰囲気のノイズが蠢くインストM-5“Deva's Enemy”から明らかに空気が変わります。
ゆったりとギターメロディーが幽玄に渦巻きブラックメタルメロデスグラインドコアが交錯するM-6“Asura's Realm”があまりにも鮮烈。
神経を磨耗させるようなリフ捌きで厭世感を強めながらも慟哭に泣き叫ぶVoとメロディーが迫るM-7“Sadistic Rituals”、高速で刻むリフから腹に溜まるドラムが凄まじい勢いで突っ走るM-8“Implementing The Metaphysics Of Morals”、汚泥のようなグルーヴを一気に引き裂く破壊力に満ちたM-9“Dukkha”、一際重く威圧的な空気をけたたましい速度で駆け抜けていくグラインドコアM-10“Naraka”まで全くテンションが落ちないのも大変素晴らしい。
邪悪な音像ながらも力で全力で押していくスタイルでもあるので、もったいぶった感じが一切ないのもいいですね。
時折顔を出す叙情的な側面に、何とも言えない奥ゆかしさを感じるのはLarissa Stuper嬢のなせる業かもしれません。
アートワークのおぞましさと禍々しさも素晴らしい出来。妙にエロいのもいいですよね。


1. Matriphagy
2. Megillus & Leana
3. Uterine Industrialisation
4. Self Inflicted Violence
5. Deva's Enemy
6. Asura's Realm ★
7. Sadistic Rituals
8. Implementing The Metaphysics Of Morals
9. Dukkha
10. Naraka
(2019/Prosthetic)
Time/41:44