むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。コメントは記事ページから書込・閲覧頂けます。

Demon Hunter / Peace

f:id:bluecelosia:20190404195420j:plain
Demon Hunter / Peace


USのメタルコア/グルーヴメタル/オルタナティヴロックバンドによる10作目フルレングス。


2作同時リリースとなる“War”“Peace”の、“Peace”が今作。
彼らに対してクリスチャンメタルやクリスチャンロックという言葉がよく使われますが、今作はそうしたものが一層表に出ています。
今作には、スクリームやグロウルは皆無であり、アグレッションもそんなにありません。
軽やかとすら言えるビートとキャッチーなコーラスが耳に残るM-1“More Than Bone”がそれを象徴しています。
つまり、今作は元々あった彼らの“クリーンでメロディアスな要素”を抽出し徹底的にブラッシュアップした作品だと言えます。
そのためポップス化したのかと言えば全くそんなことはなく、メロディーと共に地を這うグルーヴが強調されており、うねるようなベースラインと重たいリフが這い回るM-2“I Don't Believe You”、派手なギターフレーズが華やかに色づくじっくり聴かせるダークで儚いヘヴィなM-3“Loneliness”、一転軽やかに疾走するビートと耳触りのいい青白いメロディーが鮮やかなM-4“Peace”と、この時点で“War”とは全く違うことがわかります。
神聖な空気を漂わせるストーナー寄りのグルーヴで聴かせるブルージーなM-5“When The Devil Come”から作品の雰囲気が変わっていき、清廉な雰囲気が増強されます。
重厚なベースと教会音楽のようなメロディーが何とも美しいM-6“Time Only Takes”、重たく刻むパワフルなリフに朗々と歌い上げるVoの力強さが堪能できるM-7“Two Ways”、鐘の音とデジタライズされた音に物悲しく美しい銀盤が絡みつくバラードM-8“Rescuse Myself”、アコギから耳を引っ掻くエレキに雪崩れるグルーヴィーなハードロックM-9“Bet My Life”、儚い銀盤とクリーンVoのみのスローバラードM-10“Fear Is Not My Guide”に至るまでバリエーション豊かに自らの源泉をさらけ出している感覚ですね。
個人的には、“Peace”の方がメロディーの質が良くて好みです。
“War”も素晴らしいアルバムですが、彼らの美しいメロディーに酔うなら間違いなく今作。
クリーンな歌唱押しだからと言ってVoであるRyan Clarkのソロアルバムというわけではなく、しっかりDemon Hunterの作品になっています。
Triviumの“Silence In The Snow”のような位置付けなのかな、と思います。


1. More Than Bone ★
2. I Don't Believe You
3. Loneliness
4. Peace
5. When The Devil Come
6. Time Only Takes
7. Two Ways
8. Rescuse Myself
9. Bet My Life
10. Fear Is Not My Guide
(2019/Solid State)
Time/46:02

Score:9.1/10


More Than Bones