むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。コメントは記事ページから書込・閲覧頂けます。

Hiss From The Moat / The Harrier

f:id:bluecelosia:20190401230106j:plain
Hiss From The Moat / The Harrier


イタリアのブラック/デスメタルバンドによる2作目フルレングス。


Hour Of PenanceやVital Remainsで剛腕を振るっていたJames Payne(Dr)擁するバンドです。
初期はデスコアをやっていましたが、初作である前作で北欧ブラックの要素をふんだんにちりばめた冷たく吹雪くようなメロディーを持つブラッケンドデスメタルに作風が変化、非常に質の高い作品でした。
それを受けての今作ですが、前作よりも若干モダンになりましたが、凄まじいブラストビートを主軸にしたデスメタルは変わらず。
前作に比べると単純に音の強度と凶暴性が増しています。
メロディー自体も背徳感強めの嫌な気持ちにさせられる冷たさというか、密室的な冷たさに変化しており前作にあった叙情性は幾分減退しています。
実質幕開けを飾るM-2“The Harrier”の凄まじいブラストビートは機関銃のようで、それに絡みつく邪悪で冷たいリフは単純明快にかっこいいです。
厭世感を滲ませたリフと共にブラストの嵐が襲いかかるM-3“I Will Rise”、重圧感のあるリズムで粘りけのあるグルーヴを叩きつけてくるM-5“Slaves To War”、ヒステリックなギターと切迫感のあるドラムが激情的に迫るM-6“Sine Animvs”、威圧的なギターがどことなくBehemothを想起する勢いのあるブラック/デスメタルM-9“God Nephasto”、執拗に暗い響きを持つリフを重ねて病んだような世界観で幕を下ろすM-11“The Decay Of Lies”と、非常にまとまりのある音を聴かせてくれます。
何よりVoがかっこいい声質でなおかつ邪悪なのが嬉しいですね。
新しさといったものはないですが、質そのものは高く邪悪で渋さもあるので、非常に薦めやすいです。


1. The Badial Despondency
2. The Harrier
3. I Will Rise
4. The Passage To Hell
5. Slaves To War
6. Sine Animvs ★
7. The Abandonment(Interlude)
8. The Allegory Of Upheaval
9. God Nephasto
10. Unperishing
11. The Decay Of Lies
(2019/M-Theory Audio)
Time/43:12