Back Therapy / Echoes Of Dying Memories
イタリアのメロディックデスメタルバンドによる3作目フルレングス。
Insomniumタイプのメロデスで、元々エクストリームな攻撃性を売りにしたバンドではありません。
それでも過去作にあった速い曲は今作にはなく、より重厚でミドル~スロウなBPMに移行してきたため、メロデスよりもメロディックドゥームの領域に突っ込みはじめました。
この変化には、Voとギター(現ベース)以外の脱退&加入劇が関係しているのは確実。
単音リフを壮大かつ物憂げに弾きうねりのあるメロディーをじんわりじんわりと聴かせるM-1“Phoenix Rising”からその傾向が強まっていることが伺えます。
程好い疾走感とキャッチーなリフに哀感強めのメロディーを絡めたM-2“Ideal”、重厚なドラムに憂いを帯びた耽美なメロディーをゆったり聴かせるM-3“Echoes Of Dying Memories” で篩をかけられる人もいそうな。
それでも速くはないものの作中最もわかりやすいリフや劇的なメロディーが拝めるM-4“Dreaming”、小気味のいいドラムによるノリやすいテンポ感と物憂げなコーラスパートの対比が美味しいM-8“Scars”を配置しているので聴き通せるかと。
軸足をどこに入れているのかが明確になりましたが、王道メロデスへの憧憬はまだあるので中途半端だと思う人もいそうな惜しさはあります。
丁寧すぎるほど丁寧に作られているためか起伏に富んだ作品でもメロディーに独自性がある作品でもないので、もう少し勢いで押しきる感じも個人的には欲しかったですね。
悪い作品では決してありませんが、「優しすぎる男は嫌」っていう女性の気持ちが少しわかる作品だな、と。
1. Phoenix Rising
2. Ideal
3. Echoes Of Dying Memories
4. Dreaming ★
5. Reject Me
6. The Winter Of Your Suffering
7. Burning Abyss
8. Scars
9. Ruins
(2019/Black Lion Records)
Time/44:56