むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Sylvaine / Atoms Aligned,Coming Undone

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Sylvaine / Atoms Aligned,Coming Undone


ノルウェーのポストブラックメタルアクトによる3作目フルレングス。


AlcestのNeige先生大のお気に入りである彼女の新作ですが、作品を重ねる毎によりメタリックになっている傾向は揺らぎません。
今作は前作よりも重たく、ふわふわとしたSylvaine嬢のクリーンVoの可憐さに被さる曇天のような陰鬱な質感の音像に対比するかのような、Alcestにも通じる幻想的で美しいメロディーラインが特徴。
この要素は幕開けを飾るM-1“Atoms Aligned,Coming Undone”から聴けます。
今作ではそのAlcestのNeige氏がドラムとベースで参加していて共同制作体制を採っており、氏の熱の入れようが伺えます。Sylvaine嬢めちゃくちゃ美人ですからね、しょうがないですね。
痛みを感じる鬱屈したトレモロに朗々としたクリーンから悪魔のような金切り声まで自在に行き交うM-2“Morklagt”、静と動を巧みに行き交うドラマチックな展開と淡いメロディーが美しいM-3“Abeyance”の流れに息づくブラックメタルの薫りはしっかりと根を張っています。
とにかく今作は輪郭が明瞭であるのに淡いというのが最大の個性で、ハイライトとなるであろう繊細なメロディーが美しく耳に残るM-5“Severance”が作品を象徴しています。
幻想的なメロディーが余韻を残して幕を引くM-6“L'Appel Du Vide”に至るまで現実から切り離してくれる、翳りを帯びた癒しの音楽として機能した一枚。
丁寧に織り上げられているので、ブラックメタルを聴かない人にもオススメできますね。
女性Voが目立ちNeige氏も噛んでいることから、Amesoeursを思い出す人もいるかと思いますが、Amesoeursにある都会的な薫りよりは土着的で幻想的な部分が色濃いので、やはりAlcestのファンにこそ、より薦めやすくなったと思います。
退廃的な美しさにうっとりしますね。


1. Atoms Aligned,Coming Undone
2. Morklagt
3. Abeyance
4. Worlds Collide
5. Severance ★
6. L'Appel Du Vide
(2018/Season of Mist)
Time/42:14