むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Black Forest / Dream

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Black Forest / Dream


オーストリアメロディックデスメタル/フォークメタルバンドによる初フルレングス。


アートワークの桜舞い散る宵に梟が鎮座する美しい世界観そのもののメロデス/フォークメタルです。
フォークメタルと言っても、楽しくワッショイワッショイするKorpiklaaniのようなタイプではなく、シリアスかつ派手に聴かせる類のもの。
映画音楽に近い聴き心地と言えばわかりやすいかも。
その質はかなり高く、シンフォニックメタルのような荘厳さとクサさ、透明感が入り乱れていてFrosttide辺りが好きな人は好きだと思います。
気持ちを高める映画の序幕みたいな壮大なインストM-1“Prelude”に続くのは何故かギターによる1分程度のインストM-2“Intro”という謎仕様ですが、丁寧に流麗なギターを重ねて少し耽美な色合いをつけたM-3“Darkened”から地続きのシンフォニックメロデスM-4“Dawn”で乱舞するストリングスの華やかさと小気味良いツタツタと疾走するメロデスの相性はすこぶるいいですが、M-2~M-4まで1曲にしてしまえば良かったのでは?と思いました。
闇夜を照らす月明かりのような素朴で美しいメロディーをシンセで演出し濁りの少ないギターを這わせて爆走し出すM-5“Moonlight”における8分半のクサメロ大放出には悶絶する方が続出するでしょうし、メランコリックで壮麗なメロディーを華やかに聴かせて表題通り夢見心地な心地にさせてくれるM-6“Dream”、余韻を残す牧歌的で美しいM-7“Memories”で幕を下ろすのですが、とにかく短いというか中途半端なアルバム構成が最大の弱点。
前述の通り、M-2~M-4が1曲のような構成の上、7曲34分中3曲がインストなので、質が高いのに物足りなさが残ります。
最低でも後2曲、例えばシンプルな爆走メロデスと、最後にやたら壮大なフォークメタルでも仕込んでいたりすれば、近年稀に見る大傑作に仕上がっていたかもしれないと思うと、実に勿体ない。
フルレングスと言うよりはEPサイズのような満足感の、惜しい作品ですね。


1. Prelude
2. Intro
3. Darkened
4. Dawn
5. Moonlight
6. Dream ★
7. Memories
(2018/自主制作)
Time/34:20