Underoath / Erase Me
USのポストハードコア/メタルコアバンドによる5作目フルレングス。
私がこのバンドを知ったのは前作“Disambiguation”で、怒涛の曲展開でぶん殴られたかのような衝撃を受けました。
それからほどなくして解散して落胆していたら、再結成してからの今作です。
メンバーはほぼ編成をがらりと変え、何より前作の時点で脱退していたオリジナルメンバーのAaron Gillespie(Dr,Vo)が復帰したことが大きなトピック。
音楽性は混沌極まりなかったラウドロック風だった前作から一転、非常に風通しのいい作風に変化しています。
より王道のポストハードコア/メタルコアに寄せつつ、さらにポップな方向性にも手を伸ばしたというか。
象徴的なのがM-8“Hold Your Breath”でしょうか。巧くカオティックな独自の色と混ざり合っています。
幕開けを飾るM-1“It Has To Start Somewhere”のスピード感あるハードコアは健在振りを示していますし、続くM-2“Rapture”は前作の流れを汲む浮遊感と重厚感がない交ぜになってわかりやすいコーラスに繋がるポップですらある曲です。
電子ノイズがドラムに絡みつき壮絶なスクリームが炸裂するメロディーをかなぐり捨てたようなM-3“On My Teeth”、メランコリックに歌い上げるバラードのようでもあるM-4“Wake Me”の序盤で、ハードでカオティックな作風が好きな人は篩をかけられる気がします。
奇妙なメロディーとか細く歌われる四つ打ちのビートも飛び出すM-6“Sink With You”、沈み込むようなグルーヴに気だるいVoが乗る少しRadioheadみたいなM-9“No Frame”のような曲も非常に練られていて聴き応えがあります。
解放感のあるメロディーが重苦しい演奏の後ろで立ち上るM-11“I Gave Up”が今後の彼らを握る鍵にもなりそうです。
この路線転向は賛否上がっているのでしょうが、よりボーダーレスな作品に仕上がっているので、色んな層が手を出しやすいと思いますよ。
今後は安定した活動を望みたいですね。
1. It Has To Start Somewhere
2. Rapture
3. On My Teeth
4. Wake Me
5. Bloodlust
6. Sink With You
7. ihateit
8. Hold Your Breath ★
9. No Frame
10. In Motion
11. I Gave Up
（2018/Fearless）
Time/40:08
