むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Angelus Apatrida / Cabaret De La Guillotine

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Angelus Apatrida / Cabaret De La Guillotine


スペインのスラッシュメタルバンドによる6作目フルレングス。


前作辺りからパワーメタル的な雄壮のメロディーへのアプローチが表立ってきた感がありますが、今作はきちんと整理されていてメロディックスラッシュ的な味わいがあります。
前々作“The Call”と前作“Hidden Evolution”の丁度中間点に位置すると言えばわかりやすいですね。
スラッシュ的な速度は程々に、グルーヴが目立つので速ければ速いほどいいスラッシャーの方にはやっぱり少し受けは良くないかも。
そうは言っても湿り気のある叙情的なアルペジオから爆走するグルーヴを放つ幕開けM-1“Sharpen The Guillotine”は気持ちいいです。
Annihilatorみたいな奇怪かつ立体的なリフを重ねるM-2“Betrayed”、グルーヴィーなベースラインとドラムの上で冷たいギターメロディーが乱舞するM-3“Ministry Of God”、ザクザクしたリフと陽気なメロディーが対比的なロケンローな味わいのあるM-4“The Hum”、半拍ずらしたようなリフで引っ掛かりを与えて小気味良く疾走するM-5“Downfall Of The Nation”と、なかなか隙のない流れでニヤニヤできるでしょう。
M-6“One Of Us”からM-7“The Die Is Cast”の流れは強力なスラッシュチューンでかっ飛ばしていくので「やっと走ったな!」と思う人も多いはず。
メロディーの極致がバラード調の前半から凄まじい緊張感のある爆走パートに雪崩れ込むドラマ性のあるM-9“Farewell”で、ただただ単純に素晴らしいです。
ロディアスなスラッシュの方向性では集大成のような完成度を誇る作品で、聴けば聴くほど馴染んでくるタイプの作品ですね。
一発のインパクトは薄いですが、長く付き合えそうです。


1. Sharpen The Guillotine
2. Betrayed
3. Ministry Of God
4. The Hum
5. Downfall Of The Nation
6. One Of Us
7. The Die Is Cast
8. Witching Hour
9. Farewell ★
10. Martyrs Of Chicago
(2018/Century Media)
Time/52:20