むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Wombripper / From The Depth Of Flesh

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Wombripper / From The Depth Of Flesh


ロシアのデスメタルバンドによる初フルレングス。


凶悪。
このアルバムを評するにはこの二文字で足るほど、凄まじく邪悪な空気に満ちた作品です。
音楽的な参考にしているのは90年代の北欧デスだと思いますが、フロリダ産デスメタル、もっと言えばCannibal Corpse辺りが放つ血生臭さも吸い上げた地獄絵図を作り上げています。
スウェディッシュデスの鈍く圧殺するような質感を殺さずに、とにかく鋭く速いです。
このバランス感が絶妙で、M-1“Still Unborn”の無慈悲極まりないリフ地獄と怒涛のドラムの前のめる嵐がこの作品を物語っています。
スラミングがいきなり飛び出すM-2“Immolation Rites”のアイデアはおそらく7.H.TargetのメンバーでもあるKonstantin Kolovevによるものかなと思いました。
邪悪なメロディーを大々的にソロでぎっちりと聴かせるM-3“Torn By The Nails”、原始的なリズムの乱打で肉体的に揺らせつつ暴走しまくるM-4“Frantic Exhumation”、表題通り全く休ませる気のない怒涛のハードコアともリンクするM-5“Restless”の前半から畳み掛けてくる感じ、凄く好きですね。
中盤はへヴィかつグルーヴを重視したM-6“The Suicidal Recreation”やドゥームデスに接近した粘度の高いM-7“Locked In The Ice Coffin”でアクセントを持たせつつ、儀式的なおぞましさを悠然と聴かせる序盤から一気に大暴走するM-9“Prenatal Death”で一気に引き戻されます。
最後の一押しとばかりに耳を引っ掻くM.11“Already Dead”、激重のドゥームパートからノリの良いベースで転がすGraveリスペクトなM-12“Morbid Aberration”で最後までテンション高く幕を降ろします。
とにかく完成度が高く、また12曲で35分程度のコンパクトな作品なので音楽性に反して爽快に聴けますね。
血反吐を吐き散らしたかのような亡者が如きVoも実にかっこいいです。


1. Still Unborn
2. Immolation Rites
3. Torn By The Nails
4. Frantic Exhumation
5. Restless ★
6. The Suicidal Recreation
7. Locked In The Ice Coffin
8. Godless Slaughter(In The Name Of Doom)
9. Prenatal Death
10. Shredded Corpse Remains
11. Already Dead
12. Morbid Aberration
(2018/Grotesque Sounds Production)
Time/35:00