むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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The Lion's Daughter / Future Cult

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The Lion's Daughter / Future Cult


USのプログレッシヴ/スラッジメタルバンドによる3作目フルレングス。


がらっと作風を変えてきました。
前作までは暗黒ドゥームやデスメタル寄りの憎悪噴き出すある意味真っ直ぐな作風でしたが、今作はより奇妙にねじ曲がっていて、どこか近未来的。
EDMほどではないにしろ、前作までよりもインダストリアル然とした電子処理が効いているのだと思います。
それはオープナーであるM-1“Future Cult”から明らかで、ダークウェイヴにも近い沈鬱な要素を巧くスラッジ/ドゥームに盛り込んでいます。
この路線、Ihsahnの新作と同様の変化を遂げているなと個人的に感じました。
そのため、ダイハードなスラッジのファンには受けが悪い気がします。
耳に残るキャッチーなシンセフレーズが暴虐的なブラックメタル的音像に絡み付くM-3“Die Into Us”や、四つ打ちのダンサブルなダークウェイヴに寄ったM-4“Suicide Market”、煌びやかなのに悍ましいシンセに導かれてストップ&ゴーを繰り返すM-6“Grease Infant”といった曲はかなり先進的なところに踏み切ったなと。
今作は特に疾走パートが多めなので、スラッジに馴染み薄い人にもオススメしやすいところ。
実際、重苦しくのしかかるような従来型スラッジ/ドゥームがM-10“In The Flesh”のみだったりするのですが、この曲にしてもドラムはブラストビートの嵐だったりするので、一筋縄でいかない感覚が終始付きまといます。。
もはやジャンルがよくわからない次元に到達した感があるなかなかの勝負作だと思います。
実験的と言って差し支えのない作風にもかかわらずそうと感じさせないポピュラリティは個人的には頼もしく映りました。
ただ、親しみやすい作品ではないです。
This Gift Is A Curseを少しまろやかにした感じというか、同種の憎悪と憤怒のノイズが吹き荒れる一枚ですね。
ポストメタルがお好きな人にも、割とオススメはしやすいです。


1. Future Cult
2. Call The Midnight Animal
3. Die Into Us
4. Suicide Market
5. The Gown
6. Grease Infant
7. Galaxy Ripper
8. Tragedy
9. Girl Autopsy
10. In The Flesh ★
(2018/Season of Mist)
Time/37:34