むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Demonical / Chaos Manifesto

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Demonical / Chaos Manifesto


スウェーデンデスメタルバンドによる5作目フルレングス。


CentinexのMartin Schulmanが結成したバンドで、過去には現MardukのFredrik WidigsやCentinexのメンバー等も在籍していたバンドです。
その音楽性はまっすぐイエテボリデスメタルをなぞったもので、今作もしっかり継承しています。
ザラザラした特有の音の感じと、ハードコア気味に突っ走るドラムのグルーヴで聴き手に邪悪で仄かに叙情的なメロディーを叩きつけるあの感覚。
それはM-1“A Void Most Obscure”から些かも揺らがず迫ってきます。
あまりに真っ向からスウェデスを鳴らし、磨き込んでいるので地味ではあります。
ですが、コーラスで悲哀のメロディーを合唱する様が浮かぶようなM-2“Towards Greater Gods”や、呪文を詠唱するようなサビの不気味なコーラスが重厚なグルーヴに乗るM-4“Valkommen Undergang”、奈落に叩き落とす邪悪な美メロが悠然と渦巻くM-6“From Nothing”といった曲ではメロディーを大事にしたメロデス的な側面がグッと前に出ました。
勿論D-Beat気味に突っ走る暴虐的なデスメタルM-5“Torture Parade”、作中最高速でリフをこねくり回すM-8“Death Unfaithful”といった激しい面を前面に出した曲のかっこよさは変わりません。
メロディー面の軽やかさと暴虐的なデスラッシュのような側面を融合したM-9“Nightbringer”で〆る構成も実に心憎い。
展開の緻密さと粗野な演奏の対比が良くできていて、職人的な完成度でじっくり楽しめる好盤ですね。
もっと派手な展開を盛り込んだ方が受けるとは思いますが、これはこれでいい塩梅なんですよね。
アートワークの厨二心をくすぐる感じとデジパックの装丁も収集心を刺激してくれますよ。


1. A Void Most Obscure
2. Towards Greater Gods
3. Sung To Possess
4. Valkommen Undergang
5. Torture Parade
6. From Nothing
7. Unfold Thy Darkness
8. Death Unfaithful
9. Nightbringer ★
(2018/Agonia)
Time/39:56