むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Kataklysm / Meditations

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Kataklysm / Meditations


カナダのデスメタル/メロディックデスメタルバンドによる13作目フルレングス。


結成より20数年を迎える重鎮バンドですが、日本ではCryptopsyやGorgutsに比べるとイマイチ人気あるのかないのかわからないバンドの印象です。
いや、めちゃくちゃ根強いファンベースはありますけども。
その理由としては、突出した個性的な音楽性というよりは、総合演出としての水準の高さに全振りしているからかなあ、と。
特に近年の方向性はメロディアスなデスメタルとして、北欧メロデスとは少し違ったアプローチを試みているなと思っています。
メロデスと言えば咽び泣くような慟哭哀メロや鼻がもげるようなクサメロが取り沙汰されますが、Kataklysmに関しては昔からそれはあまりありません。もっとカラッとしていて、ダークなんですけど暗黒的でもなくどことなくブルージーで正統派メタル寄りというか。
初期の複雑怪奇なテクデス路線を求める人は今や少ないのかも知れませんが、やけにメロディアスなメロデス然とした傾向は近作で特に顕著。
今作でもそれは踏襲されていますが、前作と明らかに違うのが、贅肉を削ぎ落としたようなグルーヴとリフの鋭さが印象的なM-1“Guillotine”でわかるように、非常にタイトかつソリッドな音作り。
もちろん“Northern Blast”とも言われる暴虐的なブラストビートは今作でも健在。
前のめりのビート感にベースの気持ち良さが乗るキャッチーなM-2“Outsider”、邪悪なメロディーを鋭いリフで聴かせるブラストも心地好いグルーヴィーなM-3“The Last Breath I'll Take Is Yours”、重厚に聴かせるスロウなグルーヴとリフで揺らせるM-4“Narcissist”、シンプルな単音リフのハーモニーや複雑で立体的なリフ捌きも飛び出す荒れ狂うブラストがかっこいいデスラッシュM-5“Born To Kill And Destined To Die”と前半はグルーヴメタル寄りの音像が強いですが、後半はじっくり聴かせるメロディアスな展開が多くなります。
冷たいメロディーを悠然かつ猛然と聴かせるメロデスM-6“In Limbic Resonance”やキャッチーかつソリッドなグルーヴで心を掻きむしるような慟哭メロディーが飛び出すM-9“Bend The Arc,Cut The Cold”は特に印象的。
正統派メタルのような大仰でガッツのあるメロディーを重厚なテンポで聴かせるM-10“Achilles's Heel”はベテランならではの壮大な曲に仕上がっています。
個人的に彼らの作品では一番好きな仕上がりですが、これぞ!というキラーがないのもいつものKataklysmだなとも思います。
とは言っても、ソリッド&メロディアスなメロデスで特に冷たいメロディーでもないので、オススメはしやすい作品ですね。
ただこの路線でいくなら、絶対的なアンセムが必要な気は前々作くらいからずっとしています。


1. Guillotine
2. Outsider
3. The Last Breath I'll Take Is Yours
4. Narcissist
5. Born To Kill And Destined To Die ★
6. In Limbic Resonance
7. ...And Then I Saw Blood
8. What Doesn't Break Doesn't Heal
9. Bend The Arc,Cut The Cold
10. Achilles's Heel
(2018/Nuclear Blast)
Time/38:47