むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。コメントは記事ページから書込・閲覧頂けます。

Killing Gandhi / Aspirations Of Failure

f:id:bluecelosia:20180527203847j:plain
Killing Gandhi / Aspirations Of Failure


デンマークメロディックデスメタルバンドによる2作目フルレングス。


初めて聴きましたが、惹かれた理由は間違いなくバンド名です。
だって“ガンジーを殺します”ですよ、無抵抗なのに殺害予告をするだなんてほんとひどい人たちですね。
バンド名の意図はともかくとして、彼らの音楽性は近未来的なモダンメロデスと呼ばれるであろう方向性。
Soilworkや同郷のMercenaryと共通項は見出だしやすいと思います。
慟哭メロディーを全面的に聴かせるというよりはザクザクとリフでなぶり、ほんのりキーボードで冷たさを演出させる感覚。
このキーボードがなかなかいい仕事をしていて、欲しいところにうっすら鳴らしていて、過度に押しつけてこないです。
それは実質オープナーを飾る疾走するアグレッションが心地好いM-2“Let Me Tell You”から見事。
特にアルバム前半は王道的なメロデス曲が多い印象で、破壊力はあるものの驚きはさほどという感じなのですが、様相を一変させるのがきらびやかでダークかつ妖しげなメロディーが印象的なM-7“Art Of Silence”です。
ここからメロディーのタイプが前半とは異なる独特の癖が出てきて最後まで突っ走るんです。
劇的なメロディーを紡ぎつつ雄々しく突き進む重厚なM-8“My True Being”、冷たく近未来的なシンセを絡ませながらギターが唸りを上げるM-9“The Painter And The Sleeper”、優美なメロディーラインのシンセとブラストが印象的かつ大胆に悲哀を演出するM-10“Farewell”、止めと言わんばかりの爆走感を詰め込み邪悪なメロディーが神々しく壮大なコーラスに繋がるM-12“Building My Own Fate”と後半の充実っぷりは異常ですね。
作品の合間合間にSEが挟まれる構成なのでコンパクトではあるんですが、終わりに向かうにつれて濃密さを増すので結構満足度は高めです。
ただやはり、最初から後半のメロディーの独自性を出していたら稀代の名盤になっていたかもしれないと思うと実に惜しいですね。
バランスのいい作品ですので、メロデス好きには広くオススメできますよ。
ひどいバンド名に恥じず、所属レーベルは“Crime”、今作は“Massacre”から出ています。
渾身のブラックジョークにしか思えない(笑)


1. Opus #6
2. Let Me Tell You
3. Dark Hours
4. Hollow Paintings
5. The Great Escape
6. Opus #2
7. Art Of Silence
8. My True Being
9. The Painter And The Sleeper
10. Farewell ★
11. Opus #1
12. Building My Own Fate
(2018/Massacre)
Time/38:02