むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Cabbage / Nihilistic Glamour Shots

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Cabbage / Nihilistic Glamour Shots


UKのオルタナティブ/ポストパンクバンドによる初フルレングス。


直訳するとキャベツというバンド名に、「こいつらふざけてるな」と思う人は結構いると思います。
私も、最初はふざけたようなバンド名に反した真っ黒なアーティストイメージに興味を持った口ですし。
ただ、Cabbageには“やる気のない人”というような意味もあるので、その意味を当てはめると彼等の音楽性に合いますね。
彼らの音楽性、かなりオールドスクールな質感を持ったニューウェイヴ/ポストパンク。
リバイバル時に流行った形骸としてのそれよりもダンサブルな要素はなく、Joy DivisionやBauhous、Killing Jokeらの持っていた暗黒的で倦怠感の満ちたグルーヴをノイジーに苛立ち混じりで吐き出すそれ。
それを胡散臭い空気感でまとめ上げるのはM-1“Preach To the Converted”からしっかりあります。
性急なリズムで忙しなく突っ込むキャッチーなM-3“Molotov Alcopop”、分厚いギターリフを生々しく聴かせる疾走するパンクソングM-5“Postmodernist Caligula”、ノイズ塗れのヒステリックなリフをハイテンションに聴かせるM-10“Obligatory Castration”といった動的な曲もクールですが、彼らの肝は艶かしいメロディーでじっとりと聴かせるM-4“Disinfect Us”や、からっとしたドラムで小気味良く牧歌的なのに鬱屈したM-6“Exhibit A”、90年代インダストリアルを彷彿とする無機質で殺伐としたM-11“Reptiles State Funeral”、渦巻くギターノイズが甘美な轟音を生み出す暗黒シューゲイザーM-12“Subhuman 2.0”のような曲にあると思います。
今作を作る際にはかなり試行錯誤を繰り返したようで、それも頷ける緻密なアルバムです。
リバイバル全盛期にもなかなかいなかったタイプの先祖還りしたようなバンドなので、黎明期のポストパンクが好きな方は気に入るかと思います。
曲名からも察すると思いますが、割と小難しいことを歌っています。


1. Preach To The Converted
2. Arms Of Pleonexia
3. Molotov Alcopop
4. Disinfect Us
5. Postmodernist Caligula
6. Exhibit A
7. Celebration Of A Disease
8. Perdurabo
9. Gibraltar Ape
10. Obligatory Castration
11. Reptiles State Funeral
12. Subhuman 2.0 ★
13. Kevin
14. A Network Betrayal
(2018/BMG/Hostess)
Time/53:51
M-13,14日本盤ボーナストラック