Howling Sycamore / Howling Sycamore
USのプログレッシヴメタルバンドによる初フルレングス。
元Obscuraの凄腕ドラマーHannes Grossmannを擁するバンドですが、他のメンバーもAborymのDavide Tiso(Ba,G)、元WatchtowerのJason McMaster(Vo)とベテラン揃い。
その音楽性は、乱暴に言えばブラックメタルやデスメタルにIron Maidenを合わせたような感じです。
もしくはプログレデス期Opethの演奏でBruce Dickinsonが歌っているような。
艶かしいギターはOpethのようでもありますし、放たれるトレモロ混じりの寒々しいメロディーはブラックメタルのよう。
USのバンドのような暑苦しさは全くなく、欧州の仄暗い音楽性を忠実に抽出したような世界観を繰り広げていますね。
Grossmannは容赦なくブラストビートを織り混ぜた暴虐的なドラムで屋台骨を作るという枠組みはM-1“Upended”から一貫しています。
枯れた味わいのクリーンVoが響けば、Howling Sycamoreの音になるというくらい、初作にして完成されています。
哀愁のアコギにエレキとコーラスを重ねていくドラムレスのM-6“Chant Of Stillness”や、猛然とした吹雪の中をサックスが舞うダークなM-2“Obstinate Pace”の中盤の暴虐的なパートはまさしくOpeth的。
直線的に悲しみに暮れるようなメロディーをヘヴィな演奏で聴かせるM-7“Descent To Light”や、70年代のフィーリングを持って暗黒を放射しながら疾走するM-3“Let Fall”とストレートに炸裂する曲もしっかりあります。
サックスを合わせるのは今時珍しくもなくなりましたが、彼らの場合曲の仄暗さを増すのに効果的。
曲作りの巧さも相俟って上品な仕上がりのアルバムですね。
クリーンVo主体のメタルは聴かないという人も、割と気に入るのではないでしょうか。
1. Upended
2. Obstinate Pace
3. Let Fall
4. Intermezzo
5. Midway
6. Chant Of Stillness ★
7. Descent To Light
8. Dysphoria
(2018/Prosthetic)
Time/37:38