むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Letters From The Colony / Vignette

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Letters From The Colony / Vignette

スウェーデンのDjent/プログレッシヴデスメタルバンドによる初フルレングス。


彼らの音楽性を簡単に示すなら、Meshuggah+Tesseractになるのでしょうが、かなりMeshuggahの影響が強いバンドです。
ギチギチに固めた緊張感のあるリフ捌きに、うっすら柔らかいメロディーを這わせる形と言えば早いです。
メロディーのタイプは邪悪なブラックメタルのようでもあり、冷ややかな北欧メタルの様相もあります。
Djentなので、重低音でひたすらリフ責めというのが基盤ではありますが、M-5“Cataclysm”のように爆走するパートを設けたり、Meshuggahほどストイックに曲を緻密に重ねていくバンドではありません。
ですが、彼らのリフは重たい以上にとにかく鋭さを感じさせるもので、だるんだるんなダウンチューニングで落とし込む類ではないんですね。
そこが自分は気に入りました。
柔らかくメロディアスなタッチから無明の暗黒に引きずり込むM-1“Galax”から壮大で、複雑怪奇にリフを重ねて浮遊感のあるギターメロディーで脳髄を刺激するM-2“Erasing Contrast”、ノリやすいBPMを軸にDjentリフを伸び縮みさせて攪拌させるM-3“The Final Warning”という前半部分で、ジャケットの示す壮大な創世神話に放り込まれます。
絶えずうねり続けるグルーヴは、After The BurialやWithin The Ruinsのようにハードコアから発展していったものでなく、メタルを醸成したものだと窺えるほど非常にメタリック。
故に、このバンドにはハードコアの衝動は感じられません。
それはM-6“Terminus”で聴ける執拗なリフの繰り返しから針の穴に糸を通すような繊細なパートに染み込むプログレデス然とした展開で顕著です。
矢継ぎ早に繰り出される滑らかなリフの奔流に翻弄されるM-7“Glass Palaces”、作中最も長大かつ壮大に静と動を行き交う不穏で美しい表題曲M-9“Vignette”と最後まで緊張感を持続しているのが素晴らしいです。
初作にしてこの練り込まれた完成度はなかなかのものです。
まだ独自性が色濃いわけではないので、今後の発展が楽しみになる作品ですね。


1. Galax
2. Erasing Contrast
3. The Final Warning
4. This Creature Will Haunt Us Forever
5. Cataclysm
6. Terminus ★
7. Glass Palaces
8. Sunwise
9. Vignette
(2018/Nuclear Blast)
Time/55:39