むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Teenage Wrist / Chrome Neon Jesus

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Teenage Wrist / Chrome Neon Jesus


USのシューゲイザー/エモ/オルタナティヴロックバンドによる初フルレングス。


素晴らしく退廃的で、90年代にトリップしたかのような音像です。
基盤はエモにシューゲイザーを合わせ、そこにラウド/へヴィの重厚感を加えたと言えばいいでしょうか。
唸りを上げるギターやメロディー感は完全にシューゲイザーなのですが、リフそれ自体はメタリックだったり、音の重たさはしっかりしていてふわっとしているわけではないです。
インディーロックっぽさもあるにはありますが、ローファイな音ではないです。
眩いギターノイズで空間を埋め尽くすバンドではないのですが、ハードコアあるいはオルタナティヴメタルと蜜月を交わしたMy Vitriolのような趣があります。
甘美かつ退廃的なギターをぶちまけるオープナーM-1Chrome Neon Jesus”から象徴的で、程好い疾走感とゴリっと耳を削り取るようなベースがかっこいいM-2“Dweeb”の甘美なメロディーは、シューゲイザー好きの胸を撃つであろうキラーチューンです。
エモい青臭いメロディーを甘く聴かせるM-3“Swallow”、重たいギターリフでラウドに接近したようで浮遊するギターメロディーを漂わせるM-4“Stoned,Alone”、一気に90年代グランジマイブラが演奏したような爆発するM-5“Supermachine”の青臭さ。
彼らの甘く退廃的なメロディーは後半にいくにつれ、どんどん深まっていきます。
パンキッシュな疾走感に心地好く体が揺れるM-6“Black Framingo”、フェードインしてくる脆く儚い美メロが美しい王道的なシューゲイザーM-7“Kibo”、一転倦怠感を引きずる重たいベースに力強いVoが映えるへヴィロックM-8“Rollerblades”と中盤は重厚に聴かせる流れが見事。
さらに空気が変わるのが、どことなくOasisを彷彿とさせるメランコリックなメロディーに天へ溶けるようなVoが美しいM-9“Daylight”で、さらに美しいギターでじっくり聴かせるM-10“Spit”、作中最も重たいギターにノイズをまとわりつかせるJesu級に壮大なM-11“Waitress”で幕を下ろします。
いそうで実はなかなかいないバランスのバンドだと思いますね。
このバンド、おそらく日本が好きで、M-1Chrome Neon Jesus”には映画かドラマかアニメからかは不明ですが日本語がサンプリングされていたり、M-7“Kibo”は希望だったり、日本人として嬉しいところ。
それを抜きにしても、日本のこの手のロック好きには間違いなく刺さる音楽性ですし、デビュー作とは思えないほどの完成度を誇る傑作ですよ。


1. Chrome Neon Jesus
2. Dweeb
3. Swallow
4. Stoned,Alone
5. Supermachine
6. Black Framingo
7. Kibo
8. Rollerblades
9. Daylight ★
10. Spit
11. Waitress
(2018/Epitaph)
Time/42:52