むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Night In Gales / The Last Sunset

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Night In Gales / The Last Sunset


ドイツのメロディックデスメタルバンドによる6作目フルレングス。


手堅く基本に忠実ながらもそこかしこに聞き所を仕込んだ作品です。
At The Gatesの因子を強く受け継いだ悲哀慟哭メロディーと疾走感の相乗効果は抜群に気持ちよく、ATGのTomas Lindbergに似た悲壮感たっぷりのVoも健在。
ちなみにVoは初代VoのChristian Mullerに戻っています。
このバンドは2作目“Thunderbeast”が日本でもそこそこ受けていた記憶がありますが、今作はその辺りの作風に結構寄せています。
そのため、昔ながらのダイハードなメロデス好きには絶対的に外さない作風です。
全体的にシンプルですが、古き良きメロデスにロックンロール的なベースラインが個性と言えば個性。
泣かせにくるメインリフが耳にこびりつくM-1“The Last Sunset”からそうで、単音リフの王道メロデスを支えドライヴするM-3“The Mortal Soul”のベースは特に素晴らしい。
ほんのりブラックのような寒々しいギターに慟哭するVoと暴虐性を振り撒くドラムがかっこいいM-2“Dark Millenium”、焚き火を囲み悲しく紡がれるギターインストM-4“The Passing”を序曲に重ためのリフで雄大なメロディーを放射する悲しみにくれたM-5“Architects Of Tyranny”、作中最もコンパクトに爆走するも非常に物悲しいメロディーを我関せずと弾き続けるM-7“The Spears Within”、奇妙な電子音を引き裂き執拗に邪悪なリフをぶつけるM-9“Kingdom Of The Lost”と、安定感はベテランならでは。
鈍い疼痛を堪えるような悲しみに包まれたギターメロディーが凶悪にしゃがれたVoと畳み掛けるM-11“In Pain,In Silence”は出色の出来。こういう曲を終盤に置けるのは強いですね。
余韻を断ち切るようなメロデスラッシュM-12“”で幕を下ろすのも素晴らしいです。
聴けば聴くほど、ずるりと哀切が滲み出る素晴らしい作品です。かといって第一印象の良さも全く殺がれない。
彼らの作品では最も好きですね。ちなみに今作もDan Swano監修です。


1. The Last Sunset
2. Dark Millenium
3. The Mortal Soul
4. The Passing
5. Architects Of Tyranny
6. The Abyss
7. The Spears Within
8. Circle Of Degeneration
9. Kingdom Of The Lost
10. Cessation
11. In Pain,In Silence ★
12. Dust And Form
(2018/Apostasy)
Time/39:46