むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Starcrawler / Starcrawler

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Starcrawler / Starcrawler


USのパンク/ロックバンドによる初フルレングス。


巷で話題になっていたバンドによる満を持してのアルバムです。
彼女らの音楽性はいたってシンプルで、若さと勢いに乗せて突っ走るもの。
ロックあるいはパンクバンドの初作としては極めて理想的な衝動に貫かれています。
今作には、衝動しか存在していないと言っても過言ではありません。
M-1“Train”で抉じ開けるアルバムは、どれもガレージパンクとガレージロックとニューウェイヴとグランジをごった煮にしたようなものばかりです。
これらの要素は非常に恣意的であり、小難しいところは一切ありません。
バンドの名を知らしめることになったM-3“I Love LA”やM-13“Ants”は、音楽的な理論とは全く無関係のところに位置していて、“俺たち無敵だぜ!”感に溢れたもの。
こういったわけのわからないようなエネルギーに満ちたロックバンドは最近にしては珍しく、著名なミュージシャンが多数絶賛するのも頷けます。
かといって、衝動それ一辺倒で押しきらないメロウなM-9“Tears”の壊れそうな繊細さやサイケなグルーヴで揺らす妖艶なM-10“What I Want”といった曲もあります。
それでも、今作は器用に何でもやってのけるようなタイプではなく、野放図スレスレの危うさが最大の魅力ですね。
この作品は、ジャンルやら曲展開やらで評する類のものではありません。
それをすると無粋にすらなると思います。
というか、拙さすら武器にしている最高のロックンロールな作品ですね。


1. Train
2. Love Gonna Again
3. I Love LA
4. Different Angles
5. Chicken Woman
6. Pussy Tower
7. Full Of Pride
8. Let Her Be
9. Tears
10. What I Want ★
11. Used To Know
12. Castaway
13. Ants
(2018/Rough Trade)
Time/34:30
M-11~13日本盤ボーナストラック

Score:8.9/10


Starcrawler - I Love LA