むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Ne Obliviscaris / Urn

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Ne Obliviscaris / Urn


オーストラリアのブラックメタル/プログレッシヴデスメタルバンドによる3作目フルレングス。


日本でもかなりの人気を誇るバンドで、ヴァイオリンを全面に押し出したブラックメタルのスタイルで話題になり、徐々にエクストリームなプログレデスに変化し、そして前作で一気にファンを獲得しました。
今作のレコーディング前後で、ヴァイオリンと共に売りの一つでもあったベースのBrendan“Cygnus”Brownが脱退、どうなるかと思われましたが今作ではCynicにいたことでも知られるRobin Zielhorstが全面的にベースを弾いています。
それの影響かはわからないですが、元よりあったCynic的なプログレデスの要素がより濃くなりました。
ヴァイオリンによるどこまでも咽び泣くような悲哀は少し減退したので、そこは残念。
悲哀さよりもむしろ哀愁と耽美の方が強くなっています。
前作までに見られるような緩急の急な暴虐も薄まってはいますが、芯はむしろ太くなっているので順当な進化と言えます。
押し引きのバランスがいいんですよね。
M-1,2の壮大な組曲“Libera”でも朗々としたクリーンとグロウルの応酬を繰り広げる様ににんまりする人も多いかと思いますが、割とギターがメロデス寄りのくっきりした感じに変わっているのに耳がいきます。
ただ闇雲で暴虐に荒ぶる彼らとはすでに違う次元に達したことを伺わせるM-4“Eyrie”はまさにドラマティック。約12分の長大さながら、揺らめくような世界観に差し込まれる嵐のようなデスパートが素晴らしい。
重たく引きずるギターで幕を開けヴァイオリンとテクニカルデスの絡みが鬼気を放つM-5,6“Urn”の息をも吐かせぬ展開も極自然で聞き応えあります。
この曲は若干Obscuraを彷彿とさせるもので、今後こっちに転換するのかもしれませんね。
確かに全体的な雰囲気は淡白というかわかりやすくはなっていますが、聴き込めば聴き込むほど肌に馴染むタイプの作品ですね。


1. Libera Part1:Saturnine Spheres
2. Libera Part2:Ascent Of Burning Moth
3. Intra Venus
4. Eyrie ★
5. Urn Part1:And Within The Void We Are Breathless
6. Urn Part2:As Embers Danced In Our Eyes
(2017/Season of Mist)
Time/45:54