むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Witchery / I Am Legion

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Witchery / I Am Legion


スウェーデンのブラック/スラッシュメタルバンドによる7作目フルレングス。


前作“In His Infernal Majesty's Service”から1年も経たない内のリリースで、その間The Hauntedも挟んでいるので驚いたファンも多いはず。
前作が、Witcheryとしてメンバー編成を変えた上で躍動感溢れたスラッシュメタルの快作でしたので、短いインターバルの今作に不安もありました。
結果として、確かにスタジオアルバムとしての完成度は前作に及ばないです。
まず今作は、非常にブラックメタル寄りの冷たいメロディーを前面に出した作品であり、雰囲気重視。
さらに適度にラフでパンキッシュな味わいが強いです。
これはPatrik Jensenよりは前作から加入したVoのAngus Norderの趣味が大きく影響しているのかな、と思います。
MardukのLegionがVoを取った“Witchkrieg”ではブルータルなブラックメタル要素をかなり強く出していましたし、このバンドは元々Voで作風が大きく変わりますしね。
邪悪なメロディーをゆったり聴かせるM-2“True North”はタイトルを見てもブラックメタル寄りであり、ブラッケンロール的なビートで転がるような展開を見せるM-3“Welcome,Night”で確かにメロディー志向が窺えます。
そういう意味では前半部分に聴かせる曲が集中しているので、前作や名作“Witchkrieg”が好きな人には退屈と取られても仕方ないと思います。
ですが、アンセミックなM-6“Amun-Ra”を皮切りにアルバムの速度が明らかに上がる構成になっています。
威圧的な前のめりブラッケンロールなM-8“A Faustian Deal”、全てを捩じ伏せる暴虐性溢れるM-11“The Alchemist”では確かなガッツポーズが出るはず。
日本ボーナストラックのM-12“Ragnarok”やM-13“Apex Ghoul”もスピードチューンなので、個人的にはそんなゆったりした作品だという印象を持ちませんでした。
ストレートに邪悪で叙情的なメロディーを楽しむ作品であることも確かで、そういう意味ではThe Hauntedの新譜にも通じるものがあります。


1. Legion
2. True North
3. Welcome,Night
4. Of Blackened Wing
5. Dry Bones
6. Amun-Ra
7. Seraphic Terror
8. A Faustian Deal
9. An Unexpected Guest
10. Great Northern Plague
11. The Alchemist ★
12. Ragnarok
13. Apex Ghoul
(2017/Century Media)
Time/47:45
※M-12,13日本盤ボーナストラック