むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。コメントは記事ページから書込・閲覧頂けます。

Cavalera Conspiracy / Psychosis

f:id:bluecelosia:20171124215227j:plain
Cavalera Conspiracy / Psychosis


ブラジルのスラッシュメタルバンドによる4作目フルレングス。


Max&IggorのCavalera兄弟によるこのバンドも早4作目。
前作はグラインドコアとグルーヴメタルを大幅に導入した作品で、賛否がそこそこあった記憶があります。
今作は前作と同じ布陣ではありますが、今作をリリースする前に“Roots”のメモリアルツアーやNailbombの企画ツアーを挟んだせいか、Max Cavaleraの集大成的な側面が非常に強いです。
つまり、Soulflyや“Chaos A.D.”“Roots”期のSepultura、もちろん“Arise”やKiller Be KilledやNailbombに至るまで、Max Cavaleraが渡り歩いてきた人生そのものが封じ込まれています。
まず、前作よりスラッシュメタル要素が大幅に増強、どの曲にも凄まじくキレている刻みがあります。
そして今作最大の肝は、Iggor Cavaleraの太すぎるドラムを最大限活かしていることにあります。定評のある力強すぎて膜破けるんじゃないかと言わんばかりのドラミングは健在。というかこんな腹に溜まるブラストビートとか聞いたことない。
それは最初からキレっぱなしのM-1“Insane”から顕著であり、リフのヒステリックな迫力と切迫感あるグルーヴが示す通りにまさしく狂気。
腹を抉るようなドラムと凄まじく速い刻みで耳をなぶるM-2“Terror Tactics”、弾力のあるドラミングに自然と身体が揺れるM-3“Impalement Execution”、強靭なグルーヴの上でMarc Rizzoのギターが歌いまくる原始的なM-4“Spectral War”といった曲にもバンドの状態が極めて良好なことが伝わってきます。
曲間にSEを挟む構成も“Arise”を彷彿とさせますが、あちらよりも殺伐として緊張感を殺がず機能していて、その世界観が後半にかけて一気に爆発するのが素晴らしい。
まさしく“Roots”を加速させたようなグルーヴとエグいフィルの音がかっこよすぎるM-5“Crom”やインダストリアルな音処理が殺伐としていてMax本来の雑食性が遺憾なく発揮されたヘヴィすぎるダブをメタリックに再構築したM-6“Hellfire”、冷たいギターノイズが鬼のようなドラムと共に迫ってくるもはやスラッシュメタルを超えた何かよくわからないM-7“Judas Pariah”といった曲で、ひたすら殴り続けられる感覚が味わえるはず。
スピリチュアルながらもやたら重たいインストM-8“Psychosis”で耳を休ませたかと思えばトドメと言わんばかりの刻みまくるリフが素晴らしすぎるM-9“Excruciating”で幕を下ろす潔すぎる構成も大変宜しい。
文句なく最高傑作。思い出補正を抜けば、自分の中で“Arise”すら凌駕するかもしれない凶悪な作品です。


1. Insane
2. Terror Tactics
3. Impalement Execution
4. Spectral War
5. Crom
6. Hellfire
7. Judas Pariah ★
8. Psychosis
9. Excruciating
(2017/Napalm)
Time/41:07