むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Au Champ Des Morts / Dans La Joie

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Au Champ Des Morts / Dans La Joie


フランスのディプレッシヴブラックメタルバンドによる初フルレングス。


日本でもファンの多いAnorexia NervosaのギタリストStephane Bayleを中心とするバンドですが、音楽性は全く違います。
Au Champ Des Mortsは極めて哀感の強いメロディーに喉を掻き毟りながら絶唱するVoが持ち味。
Anorexia Nervosaのように、ドッカンドッカン爆走するわけではありません。
Anorexia Nervosaに通じるのは耽美な雰囲気くらいなもので、あちらのファンには薦めづらい。
ではどの辺りの層に向いているかと言えば、Alcestなんですね。
もしAlcestのメロディータッチやシューゲイザー的ノイズギターは好きだけどもっとメタリックでブルータルな感じのバンドを探しているのであれば、このバンドは打ってつけ。
Alcest以降のポストブラックを踏襲しつつもしっかり鬱ブラの様式を保っているので、特に鬱ブラを聴いてみたいという人の入門に適しています。
寂しげなアンビエンスが一気にトレモロ吹き荒れるダイナミックなM-1“Nos décombres”の美しさにハッとする人も多いと思います。
陰鬱さを放射しながら単色の風景画を濃淡のみで描いていく感じですね。
淡々と痛切な悲しさを垂れ流すような痛ましいM-3“Le sang, la mort, la chute”の後半に聴ける疾走や、大気に溶けるようなメロディーとは裏腹に鋭く撃ち込まれるドラムに歌心のあるM-6“L'Étoile du matin”といった曲でもしっかり攻撃的で邪悪な側面も残しているのは素晴らしいですね。
プロダクションも鬱ブラにあるまじき良好さで、クリア。
透き通った悲哀に打ちひしがれる作品で、これからの季節にピッタリな一枚です。


1. Nos décombres
2. Après le carnage
3. Le sang, la mort, la chute ★
4. Contempler l'abîme
5. Dans la joie
6. L'Étoile du matin
7. La fin du monde
(2017/Debemur Morti)
Time/52:10