むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Desultory / Through Aching Aeons

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Desultory / Through Aching Aeons


スウェーデンデスメタルバンドによる5作目フルレングス。


90年代にAt The GatesやDismemberやGraveら等といわゆるスウェディッシュデスメタルとめ言われる一大シーンを築き上げたバンドの1つで、96年に解散、2009年に復活して2作目が今作になります。
そして今年に解散を表明したので、今作はラストアルバムになります。
そして今作ですが、真っ向からスウェディッシュデスメタルを構築しています。
彼らのスタイルは、元々がモダンなブラストビート等には頼らず、スラッシュメタルAC/DCMotorheadのようなロックンロール的なビート感が売り。
これにスウェディッシュデス特有のいなたくざらついたギターサウンドと合わせれば、デスロールと言われるジャンルが形成されます。
その為、今作は最後の作品と言うにはかなり前のめりで初期っぽくあります。
そして、メロディーの煽情度は過去最高で、叙情的に泣きに泣いています。
そういう意味ではかなりメロデスに接近しており、ズタズタと埃っぽく疾走するM-1“Silent Rapture”から顕著。
不気味なリフが邪悪に蠢くようなM-2“Spineless Kingdom”もベテランらしくズッシリと聴かせてくれます。
スウェディッシュデスでも格段に地味な存在ではありましたが、叙情的なメロディーをまとわりつかせながら疾走するM-4“In This Embrace”から冷たいトレモロをスラッシーなビートに乗せるM-5“Beneath The Bleeding Sky”のメロデス的な流れは垂涎物ではないでしょうか。
ロディアスな要素は後半に強調され、特に寂しげなピアノが慟哭に咽ぶM-7“Divine Blindness”のデスラッシュっぷりがかなりクール。
彼ららしいそつのない完成度の高さが、これが最後と思うと一抹の寂しさを感じさせます。
問題作とされる3作目“Swallow The Snake”も案外好きで、あれを経たからこその今作の前のめり感があるのかな、とも思います。
真新しさはないですが、叙情的な原初メロデスの良さとハードコア/スラッシュの感性がしっかり噛み合った作品です。


1. Silent Rapture
2. Spineless Kingdom
3. Through Aching Aeons
4. In This Embrace
5. Beneath The Bleeding Sky
6. Slither
7. Divine Blindness ★
8. Breathing The Ashes
9. Our Departure
(2017/Pulverised)
Time/43:54