むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Dagoba / Black Nova

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Dagoba / Black Nova


フランスのインダストリアル/エクストリームメタルバンドによる7作目フルレングス。


彼らはモダンなメタルのいいところを濃縮したようなバンドです。
電子音主体のエレクトロニクスをまとわりつかせて浮遊感を演出する辺りはまさに今っぽくEDM風でもあります。
ただEDMというよりはEBMに近いので、非常に重心は低め。
重厚なバンドサウンドを壮麗に彩り、シンフォニックな要素を前面に押し出しているので、シネマスコア的な部分もしっかりあります。
そして何より彼らの確固たる個性はVoであるShawterことPierre Mailleの存在。
音そのものに際立った個性があるわけではいですが、厳ついグロウルから汚ならしいダミ声、さらには紳士的なクリーンまで操る幅広さが与える世界観の拡張は、無機質でありながらきらびやかなで壮大な音像に説得力を持たせています。
実質的な幕開けとなるM-2“Inner Sun”から期待感を煽っておいてブラストを交えて爆走するブルータルなM-3“The Legacy Of Ares”でにやける構成。
キャッチーなインダストリアルメタルのM-4“Stone Ocean”でメロディーの強調を行いつつM-7“Lost Gravity”の優美な浮遊感に着地する練り方が単純に楽しいです。
ズタズタに引き裂くようなエレクトロニクスも個性的な使い方はされないにしろ充分に機能的で、アルバムにフックを与えているので聴き疲れはしません。
そつなく高い次元で聴かせる作品になっているので、男前なVoに酔いしれたい人にもオススメします。
個人的にはもっとブラックメタルデスメタルの要素も濃かった過去作の方が好みでしたが、今作の完成度も悪くないと思います。
ちなみにジャケットはSepticfleshのSpiros Antoniouによるものででっかい顔が吐き出している黒い球のようなものは辞めたメンバーなんだとか。
いまいち日本で知名度低いのは名前のせいもあるかも知れない。日本人には今一つ“ダゴバ”の響きにかっこよさを感じられないというのはあると思います。


1. Tenebra
2. Inner Sun
3. The Legacy Of Ares
4. Stone Ocean
5. The Infinite Chaos
6. The Great Emptiness
7. Lost Gravity ★
8. Fire Dies
9. Phoenix And Corvus
10. Vantablack
11. Stone Ocean(Demo)
(2017/Century Media)
Time/52:52