むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Grave Pleasures / Motherblood

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Grave Pleasures / Motherblood


フィンランドのデスロック/ポストパンクバンドによる2作目フルレングス。


Beastmilk時代から合わせると3枚目のアルバムです。
枚数を重ねる度にHR/HM要素を削ぎ落とし、シンプルなポストパンク/ニューウェイヴに近づいていますが、今作はさらにポストパンクに。
前作まであったハードロック寄りのダイナミズムではなく、四つ打ち主体の性急で鋭いビート感とグルーヴで聴かせるので、レーベルとバンド名とアートワークで釣られるのは危険ですね。
音楽性自体シンプルなのですが、メンバーがCodeやOranssi Pazuzuの人たちなだけあって音への拘りが変態的です。
ジャケットやアートワークを見る限りシケシケなドゥームメタルなんですけど、勿論そんな要素は微塵もなく、スタイリッシュなポストパンクに終始しています。
とは言え、残響の意匠がちょっとどうかしているM-1“Infatuation Overkill”のキャッチーさは一時期流行ったニューウェイヴリバイバル勢ともリンクしますし、M-2“Doomsday Rainbows”のリフの挟みか方は初期のBloc Party辺りを彷彿とさせます。
VoはVoでFranz Ferdinandに似た感じもありますが、M-3“Be My Hiroshima”みたいにちょっと病んだ感じの歌い方もします。
這い回るベースラインに頽廃的なリフ捌きを合わせるM-5“Mind Intruder”のかっこよさはなかなかのもの。
サイケなギターワークがOranssi Pazuzuを彷彿とさせるドラムのリズムチェンジも渋いM-7“Atomic Christ”のような曲で出自を感じさせる技巧っぷりを聴かせてくれます。
彼らの世界観には、核戦争による荒廃した世界の惨状が憂いを込めて描写されていたりするので、アポカリプティックポストパンク等とも形容されています。
そういった世界観が好きな方にはたまらない頽廃的な音作りの陰鬱な作品です。
それこそロキノンミュージックマガジンなどに取り上げられそうな作品なんですけどね。
個人的には、もう少しブラックメタル臭さを出してくれても良かったな、と。


1. Infatuation Overkill
2. Doomsday Rainbows
3. Be My Hiroshima
4. Joy Through Death
5. Mind Intruder
6. Laughing Abyss
7. Falling For An Atom Bomb
8. Atomic Christ ★
9. Deadenders
10. Haunted Afterlife
11. There Are Powers At Work In This World
(2017/Century Media)
Time/40:35