むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Novembers Doom / Hamartia

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Novembers Doom / Hamartia


USのメロディックドゥーム/プログレッシヴデスメタルバンドによる10作目フルレングス。



USのバンドながら北欧の薫り高いプログレッシヴデスを演奏することで知られ、デスメタルを忘れないOpeth的音像を直向きに拡張し続けているバンドでもあります。
前作では白を基調とした世界観をモチーフに力作を作り上げしたが、今作はよりオーガニックに陰鬱な独自の世界観の作品を提示しています。
近年のParadise Lost的な重苦しさを体現しつつ、寂寞としたメロディーで聞き手を締め付けてきます。
よりEdge Of Sanityらしさを増しました。今作もミックスとマスタリングはDan Swanoですけども。
物憂げなクリーンVoは一層枯れた深みを増し、暴虐のグロウルと対比をつけています。
そして今作、非常にブルータル。
元々その音楽性の中でも積極的にアグレッションを使用するバンドでしたが、今作はメリハリをつけながらも要所要所でのブルータルな要素が尾を引くので、彼らの作品の中でも陰鬱さと残虐さが際立っています。
それは作品を抉じ開けるM-1“Devil's Light”からそうで、非常に直接的な魅力に満ちておりメロデスもかくやなわかりやすさを最初から発揮しています。
蛇のように這いずり回るようなリフ捌きとブラストビートの饗宴がたまらなく渋いM-2“Plague Bird”や陰鬱なメロウさを重苦しいギターで押し潰していくM-3“Ghost”と前半で彼ららしさが既に新次元に達していることを提示する流れで悶絶できます。
彼らのわかりやすいデスメタルの素養はM-6“Apostasy”に濃縮させ終盤に撹拌されていきます。
今作、これまでのようなサイケさはさほどありませんが、幽玄で陰鬱な色合いをグッと増したM-7“Miasma”といった彼ららしい魅力は後半に見受けられます。
そして今作は最長でも9分と彼らのアルバムではコンパクトにまとめられているので、より聞きやすく感じる要因になっているのではないかと思います。
彼らの作品では最高傑作です。
陰鬱さと残虐さと幽玄なメロディーが混沌としているアルバムですね。


1. Devil's Light
2. Plague Bird ★
3. Ghost
4. Ever After
5. Hamartia
6. Apostasy
7. Miasma
8. Zephyr
9. Waves In Red Cloth
10. Borderline
(2017/The End)
Time/56:44