LOVEBITES / Awakening From Abyss
日本のヘヴィメタルバンドによる初フルレングス。
非常に華やかな作品です。
演奏はガッツがあるアグレッションとメロディーを大事にしたものですが、汗臭さを感じさせない。
これは女性ならでは、とアーティスト写真からの視覚効果による先入観も多分にあると思いますが、Voのポップな声質によるものが大きいと思います。
彼女たちの音楽性を乱暴に表現すると、Iron MaidenとHelloweenとHalestormと安室奈美恵が共存している感じですね。
故に、メタルとしては非常にわかりやすい正統派/パワーメタルでありますし、それから逸脱したものはありません。
ただ、スラッシュメタル由来の攻撃性や、やたら2バス踏むドラムのエクストリームメタルの凶暴性がしっかり残っています。
それがあるからこそ、ジャパメタのわかりやすさやVoの出自からくるJ-Popの甘さがいい具合にミックスされています。
昨今のガールズメタルシーンの中でも、優等生というか直向きにレトロなメタルに向き合っている感じがしていて、好感が持てます。
何より今作、ほぼファストな曲で占められていてそこそこ長いランニングタイムでもダレを感じさせないのが素晴らしいですね。
徐々に熱を高めるM-1“The Awakening”から繋げられるM-2“The Hammer Of Wrath” のスラッシーなアグレッションが全く落ちないでM-12“Bravehearted”まで突っ走ります。
その中でもロックンロール由来のうねるベースが気持ちいいM-3“Warning Shot”や泣きのギターソロの掛け合いが素晴らしいM-5“Scream For Me”、熱いピュアメタルの合唱呼び込むM-7“Burden Of Time”といった曲がファストながらも多彩さを生んでいます。
最もキャッチーなM-10“Don't Bite The Dust”をこの位置に置き、バラードから一気にアグレッション滾る演奏に雪崩れ込むM-11“Edge Of The World”、壮大な世界観をメロディアスに爆走するHelloween顔負けのM-12“Bravehearted”でアルバムを総括する後半の流れも見事。
Voのハイトーンで伸びきるかと思わせて急激に吐き捨てる節回しは、聴いていてゾクッとしますね。
ハイトーンも結構伸びやかで気持ちよいですよ。
難を言えば、英語に拘らず日本語でやってた曲があってもいいのではないかということ。
世界を視野に入れるにしても、日本語で歌うことが最近の流れから見ても決してマイナスにはならないはずなので。
初フルレングスとして高い完成度でパッケージした今作の熱を、今後も維持し続けられるかが楽しみな一枚だと思います。
華やかできらびやかな世界観を熱さと麗しさで楽しむ作品で、長くお供できそうです。
1. The Awakening
2. The Hammer Of Wrath
3. Warning Shot
4. Shadowmaker
5. Scream For Me ★
6. Liar
7. Burden Of Time
8. The Apocalypse
9. Inspire
10. Don't Bite The Dust
11. Edge Of The World
12. Bravehearted
（2017/Victor）
Time/60:56
