むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Carach Angren / Dance And Laugh Amongst The Rotten

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Carach Angren / Dance And Laugh Amongst The Rotten


オランダのシンフォニックブラックメタルバンドによる5作目フルレングス。


彼らはDimmu Borgir型のシンフォニックブラックメタルです。
つまり、劇場型ですね。
フィルムスコア的な側面を強めたDimmu Borgirに対し、Carach Angrenはメタルとしての枠をまだまだ保ったままです。
ただ、全体の質感としては、最も映画音楽的ではあります。
今作は彼ら初のコンセプトアルバムだそう。
テーマはウィジャ盤。日本で言うところのこっくりさんやキューピットさんみたいなものですね。
前作でも何曲かはパンズラビリンス的なコンセプトを持った曲が何曲かありましたので、そういった寓話性を曲に持たせるのは元々得意な彼ら、さすがの構築力で聴かせてくれます。
流れがしっかりとあって、主人公がウィジャ盤で遊びすぎてしまったがためにあらゆる霊を呼び込んでしまうというもの。
それが実質オープナーになるM-2“Charlie”ですが、変則的なドラムが特徴的な派手な展開を持ちます。この曲の支配者たるCharlieはウィジャ盤で呼び出されたわけではなく、察するにはじめからいた悪霊であると思っています。
彼の呼び代となるのが、黒い箱、シンセの不穏なフレーズから重厚な演奏に繋がるM-7“Pitch Black Box”であり、この曲でも聴ける奇妙に軋むようなSEは、実はアルバム全体に仕掛けられています。
可憐な銀盤が闇に塗られていくM-5“Song For The Dead”では死者が揺らめくようなメロディーに乗せてオーケストラが舞う独特な展開を見せてくれます。
その極致とも言えるM-6“In De Naam Van De Duivel”では邪悪に荒れ狂うリフとオーケストラの濃密な絡み合いが聴けます。
総括すると、主人公である少女はCharlieに殺されてしまうわけですが、我々リスナーもある意味でCharlieに見入られてしまっています。
例えば本作の先行曲でもある“Charles Francis Coghlan”のMVを聴いたその瞬間に。
あるいはCDの封を切ったその瞬間に。


1. Opening
2. Charlie
3. Blood Queen
4. Charles Francis Coghlan
5. Song For The Dead
6. In De Naam Van De Duival ★
7. Pitch Black Box
8. The Possession Process
9. Three Times Thunder Strikes
10. Charles Francis Coghlan[Orchestra Version]
(2017/Season of Mist)
Time/47:18
M-10日本盤ボーナストラック