むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Marilyn Manson / Heaven Upside Down

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Marilyn Manson / Heaven Upside Down


USのロックバンドによる10作目フルレングス。


おそらく、長年のファンが待ち望んでいたであろう路線の音像です。
名作“Antichrist Superstar”的なインダストリアルの質感で“Mechanical Animals”をやってみたら今作“Heaven Upside Down”ができた、というような。
今作を指して混迷する世界情勢やトランプ政権への怒りの主張という論調が非常に強いです。
無論、その意味合いは大いにあります。
ただもっとパーソナルな視点では、彼の怒りの象徴でもあった父親の逝去が多分に影響したのだと思っています。
そもそもこのバンドの音楽性はBrian Warnerの心理状態に大きく左右されます。
前作のブルージーな哀愁は母の死に起因するものだとすれば、今作の不安定さは象徴でもあり指針でもあった父親の逝去に影響されたものではないか。
今作、怒りの強いノイジーな激しい音の裏に、混沌が渦巻いているのですね。
その為、確かに初期作を彷彿とさせるアグレッシヴなインダストリアル的であるものの、かつてのようなアッパーなアグレッションは控えめ。
なので、今作が最も激しいというわけでもなく、過去の再演をしているわけでもないのでご注意を。
ACSSの頃のアジテーションを復活させたようなM-1“Revelation#12”のインパクトは確かに強いものの、M-2“Tattooed In Reverence”の腰を据えた重いグルーヴは最近の彼らしい。
SatanをもじったM-4“Say10”で現在の米政府を断罪する不穏と恐慌を呼び起こすもののそこには着地せず、後半はM-8“Blood Honey”のような触れれば壊れそうな美しさを漂わせたりするので、なるほどこれは“Coma White”や“Last Day On Earth”みたいだなとニヤリとできるでしょう。
今作、完成度は確かに高いものの絶対的なアンセムがないのが一抹の寂しさを感じさせます。
そういう意味で、初期に音が近づいているからこそ悪くはないけど物足りなってきてしまう作品。
個人的には前々作収録の“Murderers Are Getting Prettier Every Day”のような曲こそ、今作で欲しかったですね。


1. Revelation#12
2. Tattooed In Reverence
3. We Know Where You Fucking Live
4. Say10
5. KILL4ME
6. Saturnalia
7. Je$u$ Cri$i$
8. Blood Honey ★
9. Heaven Upside down
10. Threats Of Romance
11. KILL4ME[Mystery Skulls Remix]
(2017/Loma Vista
Time/51:07
M-11日本盤ボーナストラック