むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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印象派 / 印象派は君に問いかける

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印象派 / 印象派は君に問いかける


日本のオルタナティブ/ポップユニットによる初フルレングス。


長らく待たされた甲斐あるようやくのフルアルバムです。
ダンサブルなシンセポップにオルタナティブロックの青春感溢れるギターサウンドを合わせて、歌謡曲あるいはアイドルポップスの胸キュン清涼感を倍々に足していったような音楽性です。
故に超ポップ。
漸くのフルアルバムというわけで、アーティスティックな実験的要素もあるのかと思いきや、只でさえ超ポップなところにファンクやシティポップの甘さをさらに継ぎ足しスッキリとまとめ上げるという荒業をやってのけました。
よく聴けば10年代らしいガチャガチャ感が少しはあるけれども、全体像はスッキリしているんですね。
今作のフックは音以上に批評性を増した歌詞だったりします。
とは言うもののcharisma.comほどのどぎつさはなく、ほんのり毒気と棘を忍ばせるいい塩梅。
そして時に攻撃的にうなり上げるギターリフや太いベースラインという肉体的強度が、毒気に確たる存在感を与えています。
M-1檸檬[le:mon]”の攻撃的なダンスグルーヴから勝負をかけてきており、それを引きずったままオルタナティブロック的青春感と昭和歌謡的馴染みやすさの三者の奇跡的融合を果たすM-2“TYPHOON!”でしっかりリスナーをかっさらう構成に強かさを感じます。
それはM-6“連れてって[ver.1.5]”で極点に達し、M-7“球状”からアルバムの印象をガラリと変えてきます。
M-8“僕らは永遠じゃない”の郷愁を誘う歌謡曲的味わいのトドメを刺す役割にユーミンのカバーM-9“Woman“Wの悲劇”より”を持ってくる辺り、彼女たちのどや顔が透けて見えてきます。
アイドルポップスのような彼女たちの歌い分けの楽しさも当たり前のようにある、何とも素敵なポップアルバムです。
何とも言えない郷愁を誘う空気が作品全体に張り巡らされているのも実にいいですね。
ブックレットに仕掛けられた問いかけも、彼女たちがファンを大事にしてることが伝わってきます。


1. 檸檬[le:mon]
2. TYPHOON!
3. Kiss!Kiss!Kiss!もいっちょKISS!!
4. 秘密
5. 印象派は君に問いかける
6. 連れてって[ver.1.5]
7. 球状
8. 僕らは永遠じゃない ★
9. Woman“Wの悲劇”より
10. 夢であった猫
(2017/Space Shower)
Time/39:21