むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Depeche Mode / Spirit

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Depeche Mode / Spirit


UKのエレクトロポップ/オルタナティブロックバンドによる14枚目フルレングス。


日本にも根強いファンがいることでも知られる、いわゆるゴシックロックの先駆けともなったバンドです。
特に日本ではヴィジュアル系黎明期のバンドで、Bauhausと共に絶大な影響を与えているバンドとして認識しています。
私個人としては、ロマンチックなシンセポップ的なイメージが何故か強くてあまり積極的に聞くバンドではなかったのですが、
プロデューサーがSimian Mobile DiscoのJames Fordと聞いて久しぶりに聴いてみました。
ガツンとくる驚きこそないものの、重心の低い、それでいてビートのアタック感がしっかり主張しているダークでヘヴィなグルーヴが気持ちいいアルバムです。
ニューウェーヴ~ダークウェーヴ~クラウトロックまでを一つの音塊にまとめ上げる手腕は流石の貫録。
全編に緊張感があり、その理由は軋むような重厚なプロダクションのみならず、昨今の不穏な世界情勢を憂うようなある種の怒りを孕んだ歌詞に寄るところも多いはず。
とは言ってもベテランで一線を戦い続けてきたバンドにしか出せないポップネスがある為、ただ単純に重たいだけの作品になっていないのが素晴らしいですね。
寂しげなシンセフレーズが特徴的なM-4“Scum”の歪んでねじ曲がったグルーヴからしてどこか優美な印象を受けます。
底知れない闇へと沈降していくようなM-6“Cover Me”の湛える深い哀しみを文字通り覆い隠していくようなノイズループ等、意匠を凝らした仕掛けが気持ち良いです。
祈りを込めた歌唱が福音のように染み渡っていくM-7“Eternal”からいよいよアルバムは混迷を増していくのですが、倒錯していきながらも一定の聴きやすさを保ったまま聴く者を捩じ伏せていく作品です。
オープナーのM-1“Going Backward”からして何か来るぞと思わせるに足る凄味を漂わせるのに非常に聴きやすくスッと入ってくるんですよね。
古くからのファンにも「新章」と言われる理由が朧気にもわかる作品です。


1. Going Backward ★
2. Where's The Revolution
3. The Worst Crime
4. Scum
5. You Move
6. Cover Me
7. Eternal
8. Poison Heart
9. So Much Love
10. Poorman
11. No More(This Is The Last Time)
12. Frail
(2017/Columbia)
Time/49:18