むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

精神衛生にやさしい「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。

The XX / I See You

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The XX / I See You


UKのロックバンドによる3作目フルレングス。


前2作と比較すると、格段に開放的になりました。
今作は意図的にディスコに寄せているようで、それまでのモノクロームな音像と比べてカラフルでポップ。
とは言え、元来あったメランコリックかつ馴染みやすいメロディーは健在。
カラフルで躍動的な演奏と乖離したような不可思議なダンスポップに仕上がっています。
決して躁という感じにはなっておらず、ただ自分の殻に閉じ籠るのをやめた、というような単純なメタファーになっているのが素晴らしいです。
躍動的と言えどアッパーではないバランスがこのニュアンスを出しているのだと思います。
ソロ作も評価されたJamieの自信も繋がっているのでしょう。
彼の作り上げる音は以前よりも立体的で、陰影に富んでいます。ノイズ一つ取っても非常に計算された配置で置かれていて、少し恐怖を覚える作り込み。
その癖外に拓かれた、聴く者を拒まない姿勢はまさしくポップと言うに相応しい。
RomyとOliverの物憂げな感覚が交錯するWボーカルも心持ち明るく響くのだから面白い。
ホーンが高らかに鳴り響くM-1“Dangerous”の開放的なグルーヴからしてバンドの新次元を感じさせますし、従来型メランコリックポップから徐々に花開いていくM-4“A Violent Noise”の滑らかなシンセレイヤーに寄り添うVoは以前の彼らよりも力強い。
シルキーなR&Bタッチかつ最高に弾けるM-8“On Hold”から流れるように速度を上げるM-9“I Dare You”で度肝を抜かれた人も多いのでは。
触れれば粉々になってしまいそうな繊細さにほんの少し力強さを加えた作品。
部屋の隅で膝を抱えて聴いていた前2作
から部屋の真ん中の少し壁寄りで控え目に踊る作品へ。
大変な進歩でございます。


1. Dangerous
2. Say Something Loving
3. Lips
4. A Violent Noise
5. Performance
6. Replica
7. Brave For You
8. On Hold
9. I Dare You ★
10. Test Me
11. Naive
12. Seasons Run
(2017/Young Turks)
Time/47:10
M-11,12日本盤ボーナストラック