むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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JLin / Black Origami

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JLin / Black Origami


USのトラックメイカーによる2作目フルレングス。


彼女の織り成す音は、ジューク/フットワークと言われるものです。
ジュークとは、ハウスから生まれたBPM162という高速ビートを主体としたジャンル。
フットワークは、さらにそこからスピードを上げた超高速に発展していったもの。
JLinは、そのフットワークでは名を知らない者のいないRP Booの秘蔵っ子として知られる才媛。
JLinの作り上げる音は、非常にダークで硬質的。
インダストリアルやダブテクノを経由した無機質な音像に、密教的なエフェクトやコラージュを散りばめた一種異様な世界観を聴かせてくれます。
さらに彼女のビートは原初的なアフロビートを取り入れており、都会的でありつつ土着的な音を練り上げることに成功しました。
このアフロビートが呼び込む狂騒は聴く者を否応なく踊らせる魔力に満ちています。
インダストリアルの硬質で機械的な音の中をシャーマニックなボイスコラージュが舞うM-5“Nyakinyua Rise”の異様な空気に圧倒されるはず。
それでもしっかりとメロディアスな箇所もあって、オープナーでもあるM-1“Black Origami”から顕著。
不気味なループサウンドから不穏に歩み寄ってくるようなM-8“Carbon 7(161)”を皮切りにアルバムが一気に暗黒的な混沌を渦巻き始めます。
映画バイオハザードのレッドクイーンのセリフをサンプリングした緊迫感溢れるインダストリアル/ダブテクノM-10“1%”で極致を迎えます。
前作はコズミックさが全面に出ていてあまり好みではありませんでしたが、今作はそれを極力抑え冷ややかな音に変貌していてめちゃくちゃ気に入りました。
民族音楽的な要素も多いので、最新型ルーツミュージック的な聞き方もできるかも知れません。
ジャケットが示すような、黒い折り紙で折られた巨象が大地を踏み荒らすかのような作品。


1. Black Origami
2. Enigma
3. Kyanite
4. Holy Child
5. Nyakinyua Rise ★
6. Hatshepsut
7. Calcination
8. Carbon 7(161)
9. Nandi
10. 1%
11. Never Created,Never Destroyed
12. Challenge(To Be Continued)
(2017/Planet Mu
Time/44:28

Score:8.8/10


Jlin - Carbon 7 (161)