Iglooghost / Neo Wax Bloom
UKのプロデューサー/作曲家による初フルレングス。
発想がかなり面白い人が出てきました。
Flying Lotusの主宰レーベルから出てきた若干20歳。
かなりぶっ飛んでいます。
痙攣するようなビートはテクノ由来のもので、彼の大きな影響源にAphex TwinやFlying Lotusは勿論、Squarepusherがあるのは明白。
加えてMumやBoards of Canada等エレクトロニカ勢を彷彿とさせる牧歌的でメランコリックな要素、さらにヒップホップのストリート感やゲームやアニメの音楽を吸収して吐き出すという離れ業をやってのけています。
個人的には“Shambhala”シリーズの頃のJosephs Nothingを思い出します。
彼の音楽は少なくとも今のところ、直感と閃きであらゆる要素をエディットしていくんですね。
これは若さ故の狂気の発露というか、まだこなれていないからこそ成し得られる純粋さの結晶。
このアルバムは、とにかく性急でせわしない印象を与えます。
意図的なアルバムの流れというのは存在せず、ガーッときて嵐のように去っていきます。
それでもリスニングしやすいような曲の配置はされているので聴き疲れはしないです。
ビートのアタック感は案外強めなので、フロア志向でもあるし、ロックリスナーにも受けは良さそうです。
祝祭的で牧歌的なオープナーM-1“Pale Eyes”を抉じ開けるFlying Lotus以降のビート感とネジくれたメロディーでうねりまくるM-2“Super Ink Burst”の流れが素晴らしい。
後半にいけばいくほどメロディーとビートの境目がぐずぐずになっていくのですが、日本のCuusheがVoで参加した00年代エレクトロニカへの郷愁を呼び起こすM-8“Infinite Mint”の名曲感が大変美味。
適度な位置でネジ曲がった高速ビートが神経をズタズタにするM-5“White Gum”やM-9“Teal Yomi/Olivine”といった曲のストレートなかっこよさが刺激的。
今作は若さ故の発想力の勝ちだと思いますが、今後の活動でスタミナとテクノロジーを身に付けた彼はどう進化/深化/変化していくのか。
早くも次が気になるポップで刺激的な初フルレングスですね。
1. Pale Eyes
2. Super Ink Burst
3. Bug Thief
4. Solar Blade
5. White Gum
6. Purity Shards
7. Zen Champ
8. Infinite Mint ★
9. Teal Yomi/Olivine
10. Peanut Choker
11. God Grid
(2017,Brainfeeder)
Time/40:58
※デジパック