むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Seven Spires / Solveig

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Seven Spires / Solveig


USのシンフォニックメタル/メロディックデスメタルバンドによる初フルレングス。



西欧的な香り漂う世界観。
音楽性自体は幅広く、NightwishのようなシンフォニックメタルからThe Agonistが如きメロデス、キャバレーの空気のジャングリーなハードロックまで自在に行き交います。
その中心にいるのは、紛れもなくVoであるAdrienne Cowanの非常に高い歌唱力。
彼女はTemperanceのMarco PastorinoやRhapsody界隈で知られるAlex LandenburgらとLight & Shadeというバンドを結成していることでも知られる実力者。
音域の幅広さもさることながら、様々な歌唱で聴かせてくれるんですね。
伸びやかなハイトーン、ソプラノ、舐め回すような低音、邪悪なだみ声、グロウル、コケティッシュかつポップな声、透明感のある中音、引き出しの多さが素晴らしい。
彼女の声質に曲が寄り添うというよりは、曲のタイプで使う歌唱法を選択している印象が強いです。
曲自体に存在感があるバンドでもありませんが、現代的なアグレッションの発露もある、彼女のバンドでは最もモダンなタイプ。
そのためか、前半5曲がよくあるシンフォニックゴシックメタルぽくて、掴みが弱いのが惜しいところ。
中盤以降払拭はされますが。
メタルコアからのフィードバックも濃いM-6“Closure”ではシンフォニックメタルにメタルコアのブレイクダウンを挟んだりする器用さを見せますし、ダークかつ煌びやかに疾走するパワーメタルM-8“Stay”から一気に暴虐性を爆発させるM-9“The Paradox”とM-10“Serenity”で異様な存在感を誇示します。
この流れの緊迫感が全編に張り巡らせられていたら、もっと知名度が上がっていたのではないかと思います。
よりブルータルなメロデスに振り切れば、個人的には嬉しいんですけどね。
今作は自主制作なので、レーベルの庇護といいプロデューサーがつけば、大化けする可能性は大いにあります。


1.  The Siren
2. Encounter
3. The Siren(Reprise)
4. The Cabaret Of Dreams
5. Choices
6. Closure
7. 100 Days
8. Stay
9. The Paradox ★
10. Serenity
11. Depths
12. Distant Lights
13. Burn
14. Ashes
15. Reflections
(2017、自主制作)
Time/64:13
※プラケース、16Pブックレット付。