むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

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Cormorant / Diaspora

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Cormorant / Diaspora


USのポストブラック/プログレッシヴデスメタルバンドによる4作目フルレングス。



鵜を意味する不思議な名前のこのバンド、前作までとは大いに趣を変えてきました。
アートワークからして、どことなくプログレっぽい奇妙奇天烈な世界観を感じ取れます。
前作まで、アグレッションと陽性のメロディーを軸に壮大なポストブラックあるいはプログレッシヴなフォークメタルを聴かせてくれる音楽性でしたが、今作ではまるでDeathがKing Crimson“Red”を演奏するような、陰鬱なプログレッシヴデスを繰り広げています。
無論、トリプルVoによるハーシュ、グロウル、クリーンを自在に行き交うスタイルは健在。
重苦しいドゥームあるいはスラッジスレスレのリフ地獄の中で、のたうち回るようなVoワークは圧巻。
前作までも長尺曲はありましたが、今作は振り切っていることは、曲数からも容易に想像できるでしょう。
曲自体複雑に入り組んでいるわけではなく、デスメタル的な突進パート、ドゥーム/スラッジ的な泥濘奈落パート、クリムゾンを彷彿とさせる重厚かつ叙情的なアンサンブルを入り乱れさせます。
時折ブラックメタル的爆走を挟みますが、今作においてそれはあくまでスパイス。
これまでのCormorantが好きな方には困惑するかもしれませんが、ブラックらしさはM-2“Sentinel”にも残っていますし、何より叙情と暴虐を溶け込ませる26分の大作M-4“Migration”の説得力に言葉を失うはず。
非常に生々しく濃密で荒々しいリフの明瞭な輪郭はこれまでになかったはずのもの。
バンドの変化を最大限感じ取れるのはM-3“The Devourer”で、ザクザクとしたリフの生々しい質感とMastodonに接近したかのような大陸的な迫力に息を呑みます。
長さを感じさせない、迫力と緊張感に満ちた素晴らしい作品です。
何故バンド名が「鵜」なのかは、未だにわかりません。
ちなみに過去作はBandcampでNYPで公開されていますよ。


1.  Preserved In Ash
2.  Sentinel
3.  The Devourer
4.  Migration
(2017,自主制作)
Time/60:36
※紙ジャケ、スリーブ仕様、一枚もの歌詞ポスター付。