むじかほ新館。 ~音楽彼是雑記~

精神衛生にやさしい「傑作!」を連発するレビューブログを目指しています。

Kaelan Mikla / Kaelan Mikla

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アイスランドの3人組による初フルレングス。



深夜、凍りついた湖上で妖艶に舞う少女。
彼女たちの鳴らす音はまさしくそのようなもので、冷たく渦巻くように暗い。
ストパンク/ニューウェイヴを軸にした音楽性は、その中でもダークウェイヴと呼ばれるものと言っていいでしょう。
太いベースラインを主軸に冷徹なビートをまとわりつかせた暗黒空間で、冷ややかなシンセとVoが可憐に舞う。
類似する音楽性で言えば、同郷のBjorkやBauhaus、Joy Divisionが上がると思います。
Voは朗読がメインですが、時に切り裂くような幼い金切り声を上げます。
この躁鬱の切り替え方は非常に個性的で、技能的でもないし、感情の赴くままに叩きつける感じ。
特にM-2“Myrkrid Kallar”のように、妖しいメロディーの上で唐突に叫び出す様は、ノルウェーのMyrkurにも近いです。
彼女たちの中心にあるのはBjorkではなくSugarcubesのようですが、あれほどのポップ感は意図的か先天的かは不明ですが、ないです。
むしろストイックなまでに暗黒空間を作り出すことに腐心しているので、とてもそっけない作風であるとも言えます。
それでも聴く者を捉えて離さないのは幼い初期衝動とも言える、パンキッシュでエモーショナルな青さもしっかり残されているから。
未熟であるが故のアイデアと、それをまとめるセンスが暴走した逸品。
これがどういった方向に進化するか深化するかはわかりませんが、今後が楽しみですね。


1. Kalan mikla
2. Myrkrid kallar
3. Liflat ★
4. Synir
5. Upphaf
6. Kalt
7. Orad
8. Glimmer og aska
9. Ekkert Nema Eg
10. Litil Dyr
11. Manadans
(2017,2670record,Fabrika)
M-9~11:日本盤ボーナストラック
Time/47:30
デジパック、日本盤ライナーノーツ有、ブックレットなし

Score: 8.5/10